icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科50巻9号

1996年08月発行

雑誌目次

カラーアトラス

Verruciform xanthoma

著者: 後藤良典 ,   安藤浩一

ページ範囲:P.670 - P.671

患者 80歳,男性
初診 平成5年12月20日

原著

過去20年間における尋常性乾癬に対するPUVA療法の小括—1副作用例を中心に

著者: 佐藤優子 ,   梁取明彦 ,   山蔭明生 ,   山崎雙次

ページ範囲:P.673 - P.677

 尋常性乾癬に対するPUVA療法の効果,発癌性などの副作用について,改めて検証してみた.患者80例にPUVA療法を平均総照射量約1050J/cm2施行した.プロトコールに準じて施行した患者には,色素沈着およびUVA照射装置の誤操作等による熱傷様の発赤,疼痛,痒み,水疱以外の副作用は認められなかったが,タール軟膏外用の既往があり,PUVAのみならずUVBの照射も受けた62歳,男性例にPUVA keratosis,日光角化症ないしボーエン病様病変の多発をみた.PUVA療法の副作用としての腫瘍性病変の発現は,欧米からの報告と異なり,本邦では現在までPUVA療法単独による発癌は報告されておらず,1)skin type,年齢,2)皮膚癌の既往,3)砒素,タール,免疫抑制剤,放射線,UVB等の暴露,4)PUVAの長期大量照射,5)PUVA Ientiginesの発生などに留意すれば,いたずらに発癌を恐れる必要はないと考えられた.

皮膚B細胞性リンパ腫の治療—自験7例の症例報告および本邦報告例70例の治療の検討

著者: 白鳥麻紀 ,   菊池新 ,   西川武二 ,   松本博子 ,   杉浦丹 ,   岡本真一郎 ,   池田康夫

ページ範囲:P.679 - P.683

 当科で経験した皮膚B細胞性リンパ腫7例を報告するとともに,本邦の過去15年間の報告例70例の治療および予後につき若干の考按を加えた.自験7例は臨床的には多発性または単発性の皮下腫瘤,病理組織学的にdiffuse typeを呈するものが多く,全例でIgH鎖に遺伝子再構成を認めた.治療は,化学療法単独,または化学療法後に放射線療法を施行した.本邦報告例では欧米に比し臨床的に多発性腫瘤を呈する症例が多く,病理組織学的にdiffuse typeの割合が高く,さらに他臓器病変を早期に合併する傾向があるため,早期でも化学療法を第1選択とすべきと考えられた.皮膚B細胞性リンパ腫は皮膚T細胞性リンパ腫とはその生物学的特性が若干異なるため,治療法も独自に検討する必要があると考えられた.

今月の症例

踵部に発生した分化型脂肪肉腫の1例

著者: 刈谷公美 ,   広瀬康昭 ,   永野弓枝 ,   池田政身 ,   山本康生 ,   小玉肇 ,   森木利昭

ページ範囲:P.684 - P.686

 皮膚科領域での報告が稀である脂肪肉腫の1例を報告した.症例は77歳女性で,右踵部にドーム状に隆起する紅色腫瘤を示した.摘出腫瘍は黄白色,分葉状に増殖した脂肪腫様の所見を呈していた.病理組織学的には,成熟脂肪細胞と小型の未熟な脂肪細胞が主体に増殖し,大型の異型な核を有するlipoblastも混在していた.軽度の線維化と粘液変性もみられたが,Hajduの分類による分化型脂肪肉腫(well-differentiated liposar—coma)と診断した.リンパ節への転移はなかった.踵部に出現した本腫瘍の報告はない.本腫瘍の予後は良いとされているが,自験例も手術1年半後まで再発していない.

Beckwith-Wiedemann症候群の1例

著者: 森康二 ,   籏持淳 ,   森健一 ,   植木宏明 ,   武田孝爾

ページ範囲:P.687 - P.690

 5歳,男児.出生前診断にて妊娠中毒,羊水過多,巨大児を指摘.37週正常分娩.出生時体重3946g.臍帯ヘルニア,巨舌,低耳,耳介小溝と軽度の眼球突出を認め,顔面は老人様であった.出生翌日より低血糖に対してグルコース点滴等にて加療.同日臍帯ヘルニアの一期的閉鎖術を施行.血中インスリン値が高値を示していたが日齢と共に軽快化.同時に認められたαフェトプロテインの異常高値も同様に正常化.体細胞の分染分析法による染色体検査では46XY.inverted(11)(p11.2q 12.2)の腕間逆位を認め,その後の検査により父親にも同様の異常を認めた.本症における皮膚症状の病態生理を結合組織成分の発現量の面から検討した報告はなく,患者真皮由来培養線維芽細胞を用いてそれらを検討するとともに,本症の病態,発生機序について若干の文献的考察を行った.

症例報告

乳児期に発症した慢性苔癬状粃糠疹の1例

著者: 佐野栄紀 ,   宮本朋子 ,   吉川邦彦 ,   橋本公二

ページ範囲:P.692 - P.694

 患者は3歳8ヵ月男児.1歳半頃より体幹に播種性に紅色丘疹が出現し,治療を受けるも完治せず,3歳頃より四肢にも皮疹の範囲が拡大してきたため,当科を受診.丘疹は一部に粃糠性鱗屑を付け,治癒後の色素脱失,色素沈着も混在して多彩な病像を呈していた.病理組織検査では真皮血管周囲性の小円形細胞浸潤とともに表皮基底層に軽度の液状変性,表皮内への小円形細胞浸潤,真皮乳頭層に赤血球漏出を認め,臨床症状と併せ慢性苔癬状粃糠疹と診断した.皮疹はUVB照射療法に反応し軽快した.我々の調べ得た限り,本邦では1歳に発症した慢性苔癬状粃糠疹は報告がなく,自験例が文献上最年少である.

硬膜外ブロックと麦角アルカロイドの併用が奏効した特発性肢端紅痛症の1例

著者: 新澤みどり ,   富田靖 ,   高橋周

ページ範囲:P.695 - P.697

 20歳,女性.初診2ヵ月前より両足の疼痛と灼熱感が出現,2週間で歩行不能となる.不眠,るいそうをきたし入院.検査値に異常なく特発性肢端紅痛症と診断.消炎鎮痛剤,アスピリン,ステロイドは無効であり,硬膜外ブロックにてプピバカインを極量まで使用し疼痛を軽減,さらに麦角アルカロイド併用にて寛解に導くことができた.本症の発症には血管収縮神経の異常が関与しているものと思われた.

病勢に一致して高度の心室性期外収縮の多発をみた中年男子全身性エリテマトーデスの2例

著者: 樋口哲也 ,   沢田泰之 ,   佐藤貴浩 ,   片山一朗 ,   西岡清 ,   島村治子 ,   秋山淳一 ,   丸茂文昭 ,   長谷川正次 ,   片山淳子

ページ範囲:P.699 - P.702

 経過中に重篤な心室性期外収縮(PVC)の合併を認め,現病治療により軽快した中年男子全身性エリテマトーデス(SLE)の2例を報告した.症例1:46歳男,顔面の円板状紅斑,網状皮斑,ループス腎炎,白血球減少,胸膜炎,凝固異常を認めた.入院時よりPVCを認め,ステロイドパルス療法後に凝固系がさらに充進,PVCも増加した.後の循環器学的検査で左冠動脈の狭窄,軽度の心筋炎,心筋の血管炎を認め.症例2:49歳男,顔面の円板状紅斑,網状皮斑,日光過敏,抗核抗体陽性,白血球減少を認めた.経過中,筋痛,リンパ節痛,微熱などの増悪に伴い,PVCの多発を認め,免疫抑制剤による治療で軽快した.SLEによる心筋炎,心筋の血管炎,凝固異常などがPVCの成因に関与したと考えた.SLEの経過中の心血管疾患の出現に対し,Holter心電図などを施行し,ステロイド治療も慎重に行い,十分な経過観察が必要と考えた.

蛍光灯により皮疹の増悪をみたピロキシカムによる光線過敏症の1例

著者: 北島進司 ,   辻卓夫

ページ範囲:P.703 - P.705

 蛍光灯により皮疹の増悪をみたピロキシカム(Px)による光線過敏症の1例を報告した.症例は45歳の女性で,入院後皮疹が被覆部にも拡大し,光線検査でUVAのみでなく可視光線にも過敏性があるとわかったので,窓のカーテンを暗幕とし,薄手のパジャマから厚い黒っぽいジャージに変え,蛍光灯も消し,終日部屋を薄暗くしプレドニゾロンも内服したところ,皮疹は2週間で軽快した.Pxの光貼布試験は陽性で,チロメサールとチオサリル酸の貼布試験は強陽性であった.波長ごとのMEDの検索では,作用波長は320〜440nmでUVAのみでなく可視光線にも過敏性があることがわかった.これまでの詳細な報告と考え合わせると,Pxの光線過敏症では,作用波長がUVAのみでなく400〜440nmの可視光線にもあることが特徴と考えられた.

塩酸チリソロールにより日光照射部に生じた乾癬型薬疹

著者: 宇都宮元和 ,   久松晃 ,   狩野葉子 ,   塩原哲夫

ページ範囲:P.708 - P.710

 症例は66歳,男性.以前より,頭部と両肘頭に乾癬があり,ステロイド剤外用にて軽決していた.平成5年10月より,塩酸チリソロール(ダイム®)を内服し,5ヵ月後に従来よりあった頭部と両肘頭の乾癬の皮疹に変化はみられなかったが,日光照射部の頸部と両手背に乾癬様皮疹の新生を認めた.組織学的にも乾癬に一致する所見であった.塩酸チリソロール内服を中止させたところ,3週間後には頸部と両手背の皮疹は略治した.このことより,頸部,両手背の皮疹については,塩酸チリソロール内服に日光照射が加わり生じた乾癬型薬疹と考えた.その発症機序について若干の可能性を述べた.

毛巣瘻の2例—発症機序に関する一考察

著者: 今門純久 ,   浦博伸 ,   佐伯秀久 ,   小方冬樹 ,   菊池かな子 ,   相馬良直 ,   古江増隆 ,   島田眞路

ページ範囲:P.712 - P.714

 毛巣瘻の2例について報告した.症例1,2は,ともに腎部の毛巣瘻で,症例1は男性,症例2は女性ではあったが,合併する多嚢胞性卵巣のために局所の多毛を伴っていた.自験2症例は後天的に発症した毛巣瘻と考えられるが,文献的に,特に他科領域での報告例を調べると,先天的に仙骨部に瘻孔が存在したと思われる症例が確かに存在する.臀部の毛巣瘻は,多毛などを素因として思春期前後に後天的に発症するタイプと,出生時より仙骨部に瘻孔が存在し,二次感染が加わって発症する先天的なタイプの2つに分けられると考えた.

Plasmocytosis circumorificialisの2例

著者: 大塚勤

ページ範囲:P.715 - P.717

 Plasmocytosis circumorificialisの2例を報告した.症例1:67歳,男性.下口唇に自覚症状のない胡桃大の皮疹が出現,下口唇やや右寄りに痂皮,落屑を付着し,粘膜面では浸軟した局面.組織学的に表皮欠損,その下方には好中球と赤血球が,真皮上層では拡張した血管と帯状の形質細胞浸潤が認められた.症例2:56歳,男性.陰茎尖端部に掻痒,疼痛を伴う紅色皮疹出現,陰茎の冠状溝全体に浮腫性腫脹した暗紅色斑.2〜3時の方向に境界明瞭な鮮紅色斑を認めた.亀頭では鮮紅色斑が認められた.組織学的には表皮には錯角化,少量の好中球遊走が見られ,真皮上層には帯状の形質細胞浸潤が認められた.いずれもWassermann反応陰性,plasmocytosis circum—orificialisと診断し,非ステロイド系消炎剤の外用で軽快した.発生機序,鑑別すべき疾患について文献的考察を加えた.

Nonannular typeのgeneralized granuloma annulareの2例

著者: 泉裕乃 ,   福代三根 ,   本田まりこ ,   新村眞人 ,   伊藤義彦

ページ範囲:P.719 - P.721

 症例1:63歳,男.症例2:54歳,男.両症例とも躯幹,四肢に自覚症状のない丘疹が散在していたが環状皮疹は見られなかった.検査上特に異常はなく,糖尿病,サルコイドーシスを疑わせる所見は認められなかった.病理組織では真皮上層に軽度の膠原線維の変性と一部巨細胞を混じる組織球の巣状の浸潤が見られ,周囲にリンパ球が稠密に浸潤していた.アルシアンブルー染色にてわずかなムチンの沈着と,エラスチカ・ワンギーソン染色にて病変部における弾性線維の消失と貪食像が認められた.以上より2例をnonannulartypeのgeneralized granuloma annulareと診断した.現在までの本邦の報告をまとめ,自験例の診断について文献的に考察した.

皮膚石灰沈着症の1例

著者: 市原美里 ,   舟橋美雪 ,   米田和史 ,   藤澤百合子

ページ範囲:P.723 - P.725

 49歳,女性.右膝関節近傍に自覚症状のない一部黄色調を呈する淡紅色半球状腫瘤が出現.切除組織のHE染色とコッサ染色,石灰分析の結果から表皮嚢腫を合併した皮膚石灰沈着症と診断した.血中カルシウム,リンの値は正常であったが,各種検査結果よりシェーグレン症候群の合併を疑わせた.3ヵ月後に右足関節伸側,左足関節伸側,左下腿屈側の計3ヵ所に下床との可動性良好な弾性硬の皮下小結節に気づき,3ヵ所とも切除を行った.組織はmobile encapsulated lipoma(以下MEL)とその二次的な石灰化を疑わせる所見であった.また同時に行った石灰分析にてリン酸カルシウムと炭酸カルシウムの混合物が検出された.本症例に関しては表皮嚢腫,MELに二次的な石灰化を来し,また要因としてシェーグレン症候群の存在した可能性が考えられた.

Superficial epithelioma with sebaceous differentiationの1例

著者: 川口博史 ,   佐々木哲雄 ,   中鳴弘 ,   本間真

ページ範囲:P.727 - P.729

 87歳男性の胸部に生じたsuperficial epi—thelioma with sebaceous differentiationの1例を経験した.臨床的には,辺縁が黒色で,中央が黄色調を帯びた赤色の腫瘍であった.組織学的には腫瘍の辺縁は,basaloid cellの増殖が著明で脂漏性角化症様であったが,腫瘍の中心部には,成熟した脂腺細胞が多数認められた.本腫瘍は過去にまだ8例しか報告がなく,大変稀な腫瘍と思われる.

Pagetoid Bowen病の1例

著者: 松坂優子 ,   横山敦子 ,   岸浩之 ,   加藤文博 ,   三浦俊祐 ,   嵯峨賢次 ,   伝法玲子

ページ範囲:P.730 - P.732

 69歳,男.15年ほど前より左臀部に皮疹が出現した.臨床的に典型的なBowen病の所見を呈したが,病理組織学的には表皮に大型で胞体の明るいPaget細胞様の細胞が集合して表皮内に認められ,pagetoid Bowen病と診断した.本症は独立疾患ではなく,1つの特異な組織像を呈するものであろうと思われた.

Epithelioma cuniculatumの1例

著者: 佐々木裕子 ,   秋山真志 ,   海老原全 ,   杉浦丹

ページ範囲:P.734 - P.736

 56歳,女性.右第4趾間から足底にかけて中央に潰瘍,疣状隆起を有する角化性局面を認めた.組織学的には乳頭腫状の表皮の増殖,表皮細胞の配列の乱れおよび軽度の異型性が認められ,腫瘍は分化度の高い有棘細胞癌であった.以上よりepithelioma cuniculatumと診断した.Epi—thelioma cuniculatumの1例を報告するとともに若干の文献的考察を行った.

骨形成を伴った母斑細胞母斑の1例

著者: 舟橋美雪 ,   佐藤史歩 ,   米田和史 ,   市原美里

ページ範囲:P.737 - P.739

 症例は41歳女性.幼少時より後頸部に黒色丘疹を2個認めた.臨床的に母斑細胞母斑と診断し切除した結果,両丘疹ともに組織学的には,真皮上層から中層にかけて母斑細胞巣がみられる真皮内型の母斑細胞母斑で,一方の母斑にはその下方に1個の骨組織を認めた.さらに当院における過去の母斑細胞母斑の組織を検討した結果,骨形成を認めた症例1例を得た.母斑細胞母斑に骨形成を伴った症例は本邦では自験例を含め23症例あり,自験例の頸部の症例を除き,すべて顔面の症例であった.

Atypical fibroxanthomaの1例

著者: 五十嵐敦之 ,   松山友彦 ,   金子健彦 ,   足立真 ,   原田昭太郎 ,   原田美貴

ページ範囲:P.741 - P.743

 29歳,男性.初診の1年前より左肩甲上部に自覚症状のない小腫瘤出現,その後急速に増大し,数ヵ月で現在の大きさに達するも,その後増大傾向なし.左頸部に15×13×15mmの有茎性腫瘤を認める.腫瘤の被覆皮膚は著変なく,その下に可動性のあるやや凹凸のある弾性硬の結節を触れる.頸部,腋窩リンパ節腫脹なし.組織所見では,薄い被膜を有する腫瘍塊は異型性の強い線維芽細胞様細胞と泡沫状の組織球様細胞からなり,storiform patternがみられ,核分裂像,多核巨細胞も散見する.炎症性細胞浸潤はなく,一部に粘液腫様変化を認めた.有茎性腫瘤を呈するatypi—cal fibroxanthomaは比較的稀と考えられた.

Acquired lymphangiomaの1例

著者: 金子玲子 ,   竹中秀也 ,   山西清文 ,   岸本三郎 ,   安野洋一

ページ範囲:P.745 - P.747

 66歳,女性.子宮頸癌で子宮摘出術および放射線照射後に17年を経て外陰部に生じたacquired lymphangiomaの1例を報告した.初診の約3年前より大陰唇に漿液性丘疹が多発,漏出液を伴い,感染により症状の悪化が認められた.組織所見では,真皮内に不規則に拡張した第VIII因子関連抗原性の管腔構造を認め,acquiredlymphangiomaと診断した.液体窒素圧抵療法やピシバニール局注療法を行い,軽度の縮小がみられた.

慢性関節リウマチに随伴した下腿の巨大な皮下血腫と潰瘍

著者: 村山直子 ,   松井はるか ,   田邉俊成 ,   伊崎誠一 ,   北村啓次郎 ,   鈴木正

ページ範囲:P.749 - P.751

 62歳,女性.38歳頃から慢性関節リウマチ(RA)を発症し,他院内科にて非ステロイド系消炎剤,ステロイド,免疫抑制剤などにて治療を受けていた.平成6年8月,テーブルの角で左前脛骨部を打撲した.巨大な皮下血腫に続発して20×8cmの潰瘍を形成した.病理組織学的に血管炎は証明されなかった.保存的治療を行ったが潰瘍は縮小せず,メッシュグラフトにて軽快治癒した.自験例の巨大皮下血腫および潰瘍は外傷を契機に発症したもので,RAに伴う皮膚血管系の脆弱性は予想以上のものであると考えられた.

リンパ球性非白血性皮膚白血病の1例

著者: 谷口彰治 ,   忽那晴央 ,   石井正光 ,   濱田稔夫

ページ範囲:P.753 - P.755

 特異疹を伴ったリンパ球性非白血性皮膚白血病の1例を報告した.症例は22歳,男性.両腕および胸部に無症候性の小丘疹を認める.組織学的に真皮全層から皮下脂肪組織にかけて稠密な異型細胞の浸潤を認め,皮膚白血病,悪性リンパ腫などを疑ったが,末梢血液像に異常はなかった.免疫組織化学的検討により,腫瘍細胞はTリンパ球由来であることが判明した.皮疹出現3ヵ月後の血液検査にて末梢血液中に白血病細胞が出現し,骨髄検査と併せて急性白血病と確定診断した.皮膚白血病の早期診断,治療のために皮膚標本の免疫組織化学検査は有用かつ不可欠であると考えた.

連載

Practical English for Busy Physicians・32

著者:

ページ範囲:P.733 - P.733

著者の明記の仕方,“in”and“ex”について,英語の時制
 突然ですが,あなたは本当に自分で論文を書いていますか?多くの論文では医局のトップの先生方のお名前を度々お見受けしていますが,本当に彼らは論文を書くのに貢献されましたか?英語で書かれている多くの雑誌では,論文を書くにあたって本当に貢献した人のみの名前を尋ねていますし,幾つかの雑誌では,誰がどの仕事をしたのか細かく名前を要求しているものもあります.もしあなたが教授の名前をほぼ自動的に挙げているのであれば,少々困ることになるかもしれませんよ.

Clinical Exercises・41—出題と解答

著者: 塩原哲夫

ページ範囲:P.736 - P.736

 41 次のうちBorrelia burgdorferi(Bb)感染との関連が示唆されている皮膚疾患はどれか.
  ①Lymphadenosis benigna cutis(LABC)

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?