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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科51巻1号

1997年01月発行

雑誌目次

カラーアトラス

弾力線維性仮性黄色腫に伴った蛇行性穿孔性弾力線維症

著者: 加藤英行 ,   山田朋子

ページ範囲:P.6 - P.7

患者 58歳,男,農業
主訴 右上腕屈側の弧状に配列する皮疹

原著

特異なリンパ管侵襲をみた足底の結節型黒色腫—In-transit転移発症機序に関する研究

著者: 栗原伸之 ,   森嶋隆文 ,   森鳴智津子 ,   岡田知善 ,   涌井史典 ,   原弘之 ,   落合豊子

ページ範囲:P.9 - P.14

 左足底の結節型黒色腫の広範囲切除術とリンパ節郭清術2年後にin-transit転移をみた65歳,男性例を報告した.興味ある知見は,1)切除時,肉眼的に皮下脂肪組織浅層に多数の黒色索状物が認められ,これに接して皮下結節の存在を確認したこと,2)病理組織学的には黒色索状物はリンパ管で,黒色腫細胞が管腔内を栓塞し,管壁に胞巣形成を認めたこと,3)リンパ管には黄色蛍光の多形細胞と緑色の小円形細胞とがあり,皮下結節では緑色の小円形細胞浸潤が主体で,多形細胞はHMB−45強陽性,小円形細胞は陰性であったこと,4)細胞核DNA量は原発巣に比し,in—trallsit転移巣で高,aneuploid patternを呈していたこと,5)eumelanin・pheomelaninの含有量は原発巣,転移巣ともほぼ同値であったが,pheomelaninの占める割合は原発巣で高く,転移巣で低かったことなどである.

臨床統計

爪下悪性黒色腫12例の臨床的検討

著者: 竹之内辰也 ,   野本重敏 ,   山田聰 ,   小柳明久 ,   伊藤雅章 ,   勝海薫 ,   兼子泰行 ,   手塚匡哉

ページ範囲:P.15 - P.18

 新潟大学附属病院皮膚科において1985年から1995年までの11年間に経験した爪下悪性黒色腫の12例を集計し,臨床的に検討した.悪性黒色腫全体に占める割合は24%,初診時年齢の平均は64.3歳で男女差はなく,第1指趾に生じたものが58%(7例)を占めていた.明らかな外傷歴を有するのは4例で,そのいずれもが第1指趾に生じたものであった.爪甲変形を認めた群は,認めなかった群に比べ,levelとtumor thicknessがともに高値で,爪甲変形の有無は組織学的深達度を反映する重要な指標となると考えた.手術治療としては,指趾切断もしくは関節離断と,予防的所属リンパ節郭清を原則とし,化学療法とインターフェロンβを併用した.原病死は1例のみであり,従来の報告に比べ良好な予後が得られている.

今月の症例

クリオグロブリン血症に伴った紫斑の1例—C型肝炎ウイルス感染との関連について

著者: 小林誠一郎 ,   菊池新 ,   仲弥 ,   西川武二

ページ範囲:P.20 - P.22

 クリオグロブリン血症に伴った紫斑の1例を報告した.膜性増殖性腎炎の経過中,両下肢に浮腫と点状ないし局面状の紫斑が多数出現.C型肝炎の既往歴あり.臨床検査上,血清リウマトイド因子高値,C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性で,IgG,IgMタイプのクリオグロブリン高値陽性を認めた.病理組織学的には真皮浅層から中層の血管周囲に好中球,核破片を認め,赤血球の血管外漏出像,血管のフィブリノイド変性,血管内腔閉塞を伴う血管炎も認められた.直接免疫蛍光抗体法では真皮浅層の血管壁にC3の沈着が認められた.HCV感染とクリオグロブリン血症について若干の考察を加えた.

症例報告

ライム病の1例

著者: 檜垣祐子 ,   川島眞

ページ範囲:P.24 - P.25

 40歳女,フランス人.パリ近郊の友人宅の庭で躯幹に5,6か所虫刺を受けた2週間後,左鼠径部の虫刺部位に紅斑が出現し,遠心性に拡大した.虫刺から2か月後に当科を受診,左鼠径部に手大の淡紅斑を認めた.慢性遊走性紅斑と考えバイシリン®の内服を開始し,10日後に紅斑は消退した.血清抗体検査でBorrelia Burgdorferi,B. afzeliiに対する抗体が検出された.

ダイエット中に発症した色素性痒疹の1例

著者: 谷野千鶴子 ,   石川高康 ,   上出良一 ,   新村眞人

ページ範囲:P.27 - P.29

 症例は19歳,男性.急激に体重が増加したため,ジョギングと食事療法によるダイエットを開始したところ,前胸部および背部に掻痒を伴う粟粒大の紅色丘疹とそれに引き続く粗大網目状の褐色調色素沈着が生じた.病理組織では基底細胞の液状変性と軽度の細胞間浮腫が認められ,異常角化細胞が散見された.色素性痒疹と診断し,食事を普通に戻しDDSの内服を開始したところ紅斑は消退した.初診時,尿中アセトン体が(+1)で5日後(+3)にまで上昇したが,皮疹の改善とともに陰性化した.色素性痒疹の病因についてはいまだに不明であるが,内分泌系や糖代謝の異常など内的要因の関与も示唆されている.飢餓や糖尿病によるケトージスが色素性痒疹の発症に何らかの関連を持つことが強く示唆された.

塩酸メキシレチンによる薬疹の1例

著者: 木花いづみ ,   田口英樹 ,   町村英郎

ページ範囲:P.30 - P.32

 塩酸メキシレチン(メキシチール®)によると思われる紅斑丘疹型薬疹の1例を報告した.内服開始3週間後に発症.発熱,肝機能障害,腎機能障害を伴い,副腎皮質ホルモン剤内服にて軽快したが,皮疹消退後も発熱が約2週間にわたって続いた.貼布試験では塩酸メキシレチンの他,同時に内服していたトロキシピド(アプレース®)にも陽性反応を認めたが,特徴的な臨床経過から塩酸メキシレチンによる薬疹が強く疑われた.

塩酸ジブカインによる光線過敏型薬疹の1例

著者: 中田良子 ,   松下哲也 ,   上出良一

ページ範囲:P.33 - P.35

 42歳,男.1994年10月8日より外痔核のためネリプロクト坐薬およびプロクトセディル軟膏を使用していたところ,肛囲の掻痒感と右手掌に漿液性丘疹が生じた.10月22日にゴルフに行ったところ,翌朝から顔面,右手背(左は手袋着用)に浮腫性紅斑と漿液性丘疹が生じた.病理組織所見では,表皮の海綿状態と真皮の好酸球を混ずる炎症細胞浸潤を認めた.薬剤中止1か月後に光貼布試験を施行したところ,プロクトセディル軟膏as isとその成分である塩酸ジブカインは非照射部で2+,UVA照射部では3+を示し,ネリプロクト坐薬とその成分である塩酸リドカインでは陰性であった.以上より本症例は,塩酸ジブカインの接触ならびに光接触過敏性を有し,露光部にみられた皮疹は塩酸ジブカインによる光線過敏型薬疹であると診断した.

硫酸ストレプトマイシンによる膿疱型薬疹の1例

著者: 佐藤和佳子 ,   小野勝馬 ,   玉城毅 ,   金井貴子 ,   内藤琇一

ページ範囲:P.37 - P.39

 32歳,男性の膿疱性薬疹の1例を報告した.結核の治療歴,乾癬の既往なし.結核性胸膜炎のため胸膜剥離術施行し,硫酸ストレプトマイシン使用開始.翌日より発熱,紅斑出現.同時に使用していたペントシリン®による薬疹と考え,ペントシリン®のみ中止したが軽快せず,10日後,紅皮症様びまん性潮紅上に膿疱出現.組織にて角層内,表皮内に好中球からなる膿疱を認めたが,血管炎の所見なし.ストレプトマイシン中止翌日より解熱,皮疹も軽快した.硫酸ストレプトマイシンのパッチテストは20%,2%,0.2%で陽性,0.02%は陰性.DLST陰性.再投与試験でびまん性の紅斑出現.他のアミノグリコシド系抗生物質—ゲンタシン®,トブラシン®,カナマイシン®,フラジオマイシン®のパッチテストを施行したが,いずれの薬剤でも陰性で,交差反応は見られなかった.

テトラサイクリン系抗生剤単独投与に反応せず丸山ワクチンの併用が奏効した顔面播種状粟粒性狼瘡の1例

著者: 西堀由喜子 ,   山崎雄一郎

ページ範囲:P.40 - P.42

 テトラサイクリン(以下TC)系抗生剤単独投与に反応せず丸山ワクチンの併用が奏効した顔面播種状粟粒性狼瘡の1例を報告した.現在,本症の治療にはTC系抗生剤が第1選択薬となることが多いが,無効の場合,丸山ワクチンの併用は試みられるべき治療法の一つと考えられた.

急激な肉体労働後に生じたMondor病の1例

著者: 成田浩巳 ,   新田悠紀子

ページ範囲:P.44 - P.46

 61歳,男性.仕事で重い荷物を運搬した後,胸腹壁に生じたMomdor病の1例を,若干の文献的考察を加え報告した.右胸腹壁に太さ約0.3cm,長さ約10cm,弾性硬の索状皮下硬結を認めた.病理組織像では,皮下脂肪織内に中等大の脈管を認めた.内腔は閉塞し,壁は全層にわたり器質化した線維組織により置換され,増殖性脈管炎の像を呈した.Elastica-van Gieson染色で断裂した内弾性板を認めた.第VIII因子関連抗原の免疫染色所見で壁内の新生した毛細血管の内皮細胞に陽性所見を認めた.Mondor病は,罹患脈管が静脈かリンパ管かで従来より議論が絶えないが,自験例は内弾性板を認めたことより静脈由来と考えた.

下腿潰瘍を合併した先天性アンチトロンビンIII欠乏症の1例

著者: 松本博子 ,   安西秀美 ,   井出瑛子 ,   杉浦丹 ,   綿引洋一 ,   小坂昭夫 ,   村田満

ページ範囲:P.47 - P.50

 下腿潰瘍より先天性アンチトロンビンIII欠乏症を診断しえた31歳男性例を報告した.両下腿に3年来難治の潰瘍があり,周囲にうっ滞性皮膚炎の所見を認める.静脈造影にて両下肢から下大静脈にかけての多発血栓を,肺血流シンチグラムで多発性の陰影欠損を認めた.若年発症で,上矢状静脈洞血栓症の既往もあり,凝固線溶系の精査を施行し上記と診断した.抗原量・活性ともに低下したタイプで,子(6歳女)にも同様の所見を認めた.血栓症に関しては抗凝固療法を,また,肺塞栓予防のため下大静脈内フィルターを挿入.潰瘍は通常の外用療法にて治癒した.若年発症の下腿潰瘍で静脈血栓症に伴う場合,同症も念頭において先天性血栓性素因の精査を施行すべきと考えた.

Eosinophilic cellulitisの1例

著者: 市川健 ,   斎田俊明 ,   斉木実

ページ範囲:P.51 - P.54

 50歳,女性.HBs抗原陽性.平成6年6月頃より,1〜2か月に1度,瘙痒感を伴う皮疹と口腔歯肉の発赤腫脹を繰り返す.その都度,開業医で抗生物質の点滴静注,ステロイド内服加療を受け軽快していた.平成7年4月21目,頬部の腫脹,歯肉炎が増悪し,長野赤十字病院歯科口腔外科に頬部蜂窩織炎の診断で入院し,当科へ紹介された.初診時,ほぼ全身に浮腫性地図状の紅褐色紅斑とその周辺部に点状紫斑がみられた.強い瘙痒感と肩関節痛を伴う.頬部の腫脹,口腔内疼痛も認められる.白血球15,800/mm3,末梢血好酸球分画70.8%.右肩部の皮疹の生検では真皮に密な好酸球浸潤と顆粒状の好酸性物質の沈着が認められた.DDS 30mgの内服では著効はみられなかったため,プレドニゾロン20mgの内服を開始したところ,3日目には皮疹,関節痛,頬部腫脹は顕著に改善した.平成7年12月現在,プレドニゾロン10mg/日の内服を継続しており,皮疹の再燃は認められていない.

全身性エリテマトーデスに伴った抗リン脂質抗体症候群の1例

著者: 小池且弥 ,   豊田典明 ,   橋本喜夫 ,   松尾忍 ,   飯塚一

ページ範囲:P.56 - P.58

 全身性エリテマトーデスに伴う抗リン脂質抗体症候群を報告した.症例は32歳女性で,自然流産歴がある.右第2趾の壊疽を生じ,切断術を施行した.定型的な臨床像と抗カルジオリピンβ2グリコプロテインI抗体が高値を示したことから,抗リン脂質抗体症候群と診断した.自験例では,抗カルジオリピンIgG, IgM抗体は陰性ないし弱陽性であった.本症例の検査結果の解釈について,若干の考察を加えた.

蒙古斑上に生じた青色母斑の1例

著者: 野口雅博 ,   三浦隆

ページ範囲:P.60 - P.62

 19歳,女性.生下時より背中,殿部に青色斑があったという.発症時期は不詳であるが青色斑の中央部に黒色調の強い半球状に隆起した青色丘疹が出現してきた.組織学的には青色斑部には真皮メラノサイトが散在し,青色丘疹部には真皮メラノサイトが密に増殖するのが認められ,蒙古斑および青色母斑と診断した.この合併の機序については蒙古斑内の真皮メラノサイトが退行変性を起こす一方で,一部の真皮メラノサイトはメラニン形成能を有し,腫瘍性に増殖して青色母斑を発症したものと推測した.

13トリソミー症候群の1例

著者: 角田寿之 ,   早川千絵 ,   西内徹 ,   斎藤次郎 ,   藤森健

ページ範囲:P.63 - P.65

 生後1日の女児.出生時より頭頂部にびらんを認め,特異的な顔貌と種々の外表奇形,内臓奇形を伴った.核型分析にて13-13転座型の13トリソミーを認め,13トリソミー症候群と診断した.本症は既に臨床像の確立された疾患でありながら,皮膚科領域ではほとんど知られていない.頭皮欠損を伴う先天奇形を見た場合,13トリソミー症候群は考慮すべき疾患の一つであると考えた.

結節性硬化症の1例—脂腺腺腫由来線維芽細胞様細胞のlife spanおよびcell cycleの検討

著者: 大塚勤

ページ範囲:P.67 - P.69

 24歳,女性.生後3か月に点頭てんかんを,3歳時知能障害,顔面の紅色皮疹を指摘された.初診の3年前より丘疹が増加,拡大.切除目的にて1990年10月3日当科入院.両側の鼻翼から鼻翼の外側,鼻孔直下に粟粒大から示指頭大の淡紅褐色,弾性軟の結節が集簇していた.また,shagreen patch,脱色素性母斑,Koenen腫瘍を認めた.頭部CTでは上衣下,大脳鎌,脈絡叢に石灰化を,腹部CTでは右腎にlow density areaを認めた.Life span assayを行ったところ,脂腺腺腫由来線維芽細胞様細胞のcell generationは著明に短縮していた.細胞分裂能の低下と関連して,cell cycle異常の有無を検討した.G2+M期の細胞の割合が著明に増加していた.Life Spanが短縮している理由としてG2+M期からG1期へ移行しない可能性が考えられた.

成人型色素性蕁麻疹の1例

著者: 三浦宏之 ,   谷守 ,   野瀬隆夫 ,   田邉昇 ,   磯ノ上正明 ,   小塚雄民

ページ範囲:P.70 - P.72

 症例:31歳,男性.6年前より米粒大の扁平隆起性丘疹が出現し徐々に全身に拡大し,一見多発性の皮膚線維腫様であった.丘疹の組織所見はHE染色では基底層の色素沈着のみであったが,トルイジンブルー染色にて乳頭層から真皮上層に肥満細胞が散在して認められ色素性蕁麻疹と診断した.成人の色素性蕁麻疹は典型例に比し軽症のことがあり診断が困難な場合がある.よって軽微な掻痒を伴う色素性の丘疹では本症も念頭に置き,HE染色にて明らかな細胞浸潤がなくともトルイジンブルー等の染色を試みる価値がある.

増殖性変化を伴った外毛根鞘性嚢腫

著者: 木村俊次 ,   和泉達也 ,   今村浩子

ページ範囲:P.74 - P.76

 51歳女性頭皮に一部硬結を伴う直径5cmの嚢腫状腫瘤が単発し,組織学的に外毛根鞘性嚢腫であったが,種々の程度に増殖性変化を伴い,硬結部は増殖性外毛根鞘性嚢腫に一致する所見を示した.最近13年間に当科で経験した20例の外毛根鞘性嚢腫のうち4例20%に増殖性変化を認めたことになるが,臨床的にも硬結を呈したのは今回が初めてである.

特異疹を認めた急性単球性白血病の1例—臨床および組織学的特徴について

著者: 外舘晃洋 ,   加藤直子 ,   相川啓子

ページ範囲:P.77 - P.79

 症例は62歳,女性.急性分化型単球性白血病(AM 5bL)のためダウノマイシン,シトシンアラビノシド,6—メルカプトプリン,プレドニゾロン(DCMP)による寛解導入療法開始直後に腹部,大腿前面に米粒大からえんどう大の丘疹と結節が生じた.組織学的に,真皮乳頭層から網状層下層にかけて,やや大型で単核の異型細胞が血管周囲性および膠原線維間に連なって浸潤していた.これらの細胞はリゾチーム陽性,CD 68陽性であった.骨髄および末梢血ではDCMP2クール後完全寛解となったが,その後も皮疹は再発した.白血病における特異疹と非特異疹の臨床的特徴と,特異疹の出現頻度とその時期,診断方法に関して若干の文献的考察を加えた.

転移をきたした毛包癌の2例

著者: 嶋岡正利 ,   永井弥生 ,   神戸直智 ,   田村敦志 ,   石川治 ,   宮地良樹

ページ範囲:P.81 - P.83

 60歳女,左大腿の悪性外毛根鞘腫(malig—nant trichilemmoma, MT)と85歳女,右胸部の悪性増殖性外毛根鞘性嚢腫(malignant prolifer—ating trichilemmal cyst, MPTC)の各1例を報告した.前者は組織学的に異型性が強く,好酸性の壊死巣を伴う嚢腫様構造を,後者は外毛根鞘性角化が著明な嚢腫様の腫瘍胞巣を呈していた.いずれも術後,早期に転移をきたした.MT,MPTCは転移能が高く,十分な転移の有無の検索をする必要があると思われた.

連載

Clinical Exercises・46—出題と解答

著者: 橋本隆

ページ範囲:P.42 - P.42

 91 次の自己免疫性水疱症とその自己抗原の局在の正しい組み合わせはどれか.
  ① 落葉状天疱瘡…………………………………………デスモソーム

Practical English for Busy Physicians・37

著者:

ページ範囲:P.89 - P.89

略語とかけことば,HIVテスト,医療保険について
 先生はご自身で実験の立案から遂行までをなさっていますか.もしそうであればなるべく対照付きの実験を無作為化されるとよいでしょう.そうすることによって実験結果はさらに真実に近いものとなるでしょう.明らかに多くの無作為化された対照付きの実験はきちんと立案および遂行されていないようです.そこでぜひJAMA 1996年8月号vol. 276, No. 8の素晴らしい記事を読まれることをお勧めします.著者はBegg et al. で“The CONSORT Statement”という副題がついています.英語では多くの略語を使用しますが,それ自体が直接勉学と関係なくてもそのほうが覚えやすいからです.この場合consortは最近あまり使われなくなった言葉ですが,本来の意味はpartner,companionという意味で,多くの場合が結婚という形にとらわれていない関係を指しています.そしてここで英語の“かけことば”的要素が入ってきますが,良い研究とcompanionとが必要不可欠な関係ではなく,実際のところどちらかというとせいぜい希薄な関係でしかないわけですね.しかし1993年における初期の研究はSORTと言われていましたから,明らかに著者は直接本来の意味と関係なくてもこのような略語を使用した訳です.このようなかけことばや略語の選択は科学的とは言えませんが,特別珍しいというわけでもありません!

治療

尖圭コンジローマを伴った四肢の巨大多発性疣贅—治療時の疼痛管理についての考察

著者: 長島弘明 ,   白石正彦 ,   村井孝弥 ,   佐藤正憲 ,   板井恒二 ,   野村和夫 ,   橋本功 ,   工藤明

ページ範囲:P.86 - P.88

 33歳,男性.10年前より左足に疣贅が出現,次第に両手足に拡大.外陰部には尖圭コンジローマ併発.手足の疣贅は巨大鎧状を呈していた.DNCB感作不成立,ツ反陰性の他は免疫系に異常なく,基礎疾患もなし.局所治療時の疼痛が極めて高度なため,疼痛対策に苦慮したが,0.5%ブピバカインによる硬膜外ブロック,脊椎麻酔,2%リドカインによる手根管ブロック,足根管ブロック,1%リドカインによるOberst指ブロックなどを随時使い分けることにより,疼痛管理が可能となった.以後,このような疼痛管理下で,頻回の液体窒素による冷凍凝固療法,ブレオマイシン局注,電気凝固療法などにより皮疹および粘膜疹の改善をみた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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