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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻10号

1997年09月発行

原著

木村病—マスト細胞の電顕的脱顆粒形態

著者: 青木見佳子1 本田光芳1 山本達2 百束比古2

所属機関: 1日本医科大学皮膚科学教室 2日本医科大学形成外科学教室

ページ範囲:P.785 - P.790

文献概要

 46歳男性の痒疹を合併した木村病の1例を報告した.既往にアレルギー性鼻炎,気管支喘息がある.両上眼瞼,前額部,下顎部,両上腕内側などに直径3〜10cmの弾性軟の皮下腫瘤が存在し,四肢には色素沈着を伴う丘疹,掻破痕を認める.白血球16400,好酸球65%,IgE 14800IU/ml.組織学的には著しい好酸球浸潤を伴うリンパ濾胞様構造を多数認めた.濾胞間領域には多数のマスト細胞の出現を認め,これらの細胞の脱顎粒状態について電顕的に検索した.顆粒は結晶状ないし渦巻き状から粒子状,微細粒子状への移行を示し,さらに顆粒の部分的な空胞化や高電子密度な中心を有する小空胞構造を認めた.これらの変化は緩徐型脱顆粒現象piece meal de—granulation(PMD)に特徴的な形態であり,PMDを介して放出された化学物質が木村病の病像形成に関与している可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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