症例報告
全身性エリテマトーデスと抗リン脂質抗体症候群の兄妹例
著者:
安部正敏1
石川治1
渋沢弥生1
宮地良樹1
所属機関:
1群馬大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.825 - P.827
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16歳男児の全身性エリテマトーデス(SLE)と10歳女児の抗リン脂質抗体症候群の兄妹例を報告した.血清学的に,兄は抗核抗体,抗Sm抗体が陽性であったが,ループスアンチコアグラント,抗カルジオリピン抗体は陰性.妹はループスアンチコアグラント,抗カルジオリピン抗体の両者が陽性,抗一本鎖DNA抗体が高値であったが,その他の自己抗体は認められなかった.HLAタイプは兄がA2,B35,B60,Cw3,DR2,DR9,妹がA2,B24,B35,B61,Cw3,DR9,父親がA2,A24,B35,B52,Cw3,DR2,DR9,母親がA2,A24,B60,B61,Cw3,DR2,DR9であった.SLEとHLAとの相関に関する本邦報告ではA11,B8,B40,DR2,DRw9,抗リン脂質抗体症候群ではDR4が指摘されており,自験例では兄がDR2であった.今後,自験例については妹のSLE併発に留意して,注意深い経過観察が必要と思われた.