臨床皮膚科51巻10号

1997年09月発行

症例報告

皮膚浸潤を認めた成人T細胞白血病／リンパ腫の1例

著者： 今西育子¹ 菊池新¹ 佐々木裕子¹ 岡本真一郎¹ 池田康夫² 跡部俊彦² 服部道子³ 西川武二⁴

所属機関： ¹慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 ²慶應義塾大学医学部血液内科学教室 ³済生会横浜市南部病院内科 ⁴横浜掖済会病院内科

ページ範囲：P.870 - P.873

　51歳，男．宮崎県出身．四肢，躯幹に浸潤性紅斑，多発性結節および落屑性紅斑局面を呈し，著明な表在リンパ節腫脹を認めた．末梢血で白血球増多，異型リンパ球は66％を占め，抗HTLV−1抗体（PA法）は131072倍陽性であった．末梢血リンパ球および病変部皮膚から抽出したDNAのサザンプロット法にてHTLV−1proviral DNAのモノクローナルな組み込みを認めた．浸潤性紅斑・結節部の皮膚生検組織で真皮内にびまん性に異型細胞の浸潤を認め，皮膚浸潤を伴った急性型の成人T細胞白血病／リンパ腫と診断した．