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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻13号

1997年12月発行

文献概要

原著

日本のライム病—自験40例の検討

著者: 橋本喜夫1 木ノ内基史1 高橋英俊1 川岸尚子2 岸山和敬3 中尾稔4 宮本健司4 飯塚一1

所属機関: 1旭川医科大学皮膚科学教室 2北見小林病院皮膚科 3北見赤十字病院皮膚科 4旭川医科大学寄生虫学教室

ページ範囲:P.1081 - P.1086

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 自験40例のライム病の臨床像を検討し,本邦のライム病の特徴を述べた.II期以後の出現頻度は10%,神経症状の頻度は5%と欧米に比べ低く,遊走性紅斑(EM)が主体で,軽症例が多いことが特徴である.関節痛は20%にみられるが,抗生剤が有効で,EMの消褪とともに軽快する.すべての症例でマダニ刺咬症の既往が明確にあることが欧米との違いである.皮疹部から比較的容易にボレリア分離培養が可能であり,genospeciesとしてはBorrelia gariniiが多い.本邦のボレリアは欧米のボレリア株とr-RNAのRFLPパターン(リボタイプ)や抗原性に違いがみられ,本邦のライム病の臨床的特徴を規定している可能性もある.北海道などライム病好発地域では,マダニ刺咬症の約10%にライム病が発症する可能性があるが,確実な頻度は不明である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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