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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻13号

1997年12月発行

文献概要

症例報告

移動再発性皮下硬結を主徴とした日本顎口虫症の1例

著者: 谷野千鶴子1 野村中夫1 上出良一1 石田卓2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室 2いしだ皮フ科

ページ範囲:P.1121 - P.1124

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 症例は50歳,女性.右下腹部に自覚症状を伴わない小児手挙大の浸潤性皮下硬結が出現した.近医を受診しデキサメタゾンの漸減内服にて消退した.その後同様の皮下硬結が位置を変え4回出現したため当科へ紹介された.生検では真皮全層から皮下脂肪織に至る血管,付属器周囲性の多数の好酸球を伴う稠密なリンパ球浸潤を認めたが,虫体は検出できなかった.約20日後,臍右側に同様の皮下硬結と水疱様線状疹が出現し,末梢好酸球数も著明に増多した.同部の切除標本内に虫体の断面を認め,日本顎口虫と診断した.日本顎口虫症の報告例のうち関東地方の在住者の報告は初めてである.幼虫移行症には有効な駆虫薬はなく,予防のためには中間宿主となる川魚の生食には十分注意するよう一般への啓蒙が大切と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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