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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻2号

1997年02月発行

症例報告

高齢者に生じた悪性リンパ腫の1例

著者: 大山学1 菊池新1 大畑恵之1 西川武二1 岡本真一郎2 池田康夫2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部血液内科学教室

ページ範囲:P.149 - P.152

文献概要

 躯幹,四肢に多発性皮膚腫瘤を呈した悪性リンパ腫76歳男性例を報告した.皮膚病理組織では真皮全層に核小体が明瞭な淡明で大型の核を持つ異型細胞の浸潤を認め,これらはB細胞の表面形質を呈していた.皮膚腫瘤部から抽出したDNAの解析では免疫グロブリンH鎖遺伝子の再構成を認めた.全身症状として発熱,盗汗があり,胸腔,腹腔内,全身の骨にも腫瘤を認めたことよりB細胞性リンパ腫stage IV bと診断.CHOP療法にて皮膚および全身の症状は消失したが,入院の長期化とともに,俳徊,抑うつなどの症状が出現し,中途にて外来通院治療とした.高齢者悪性リンパ腫の治療では,薬剤投与量およびその副作用,独特の予後決定因子,入院の長期化に伴う問題,合併症への配慮など成人のリンパ腫の治療以上に問題点が多く,治療指針は確立したものはないのが現状である.そこで,自験例を通し高齢者リンパ腫の問題点を明らかにするとともに若干の考按を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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