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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻5号

1997年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス1997 Clinical Dermatology 1997 1 最近話題の皮膚疾患

思春期後痤瘡

著者: 相澤浩1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.21 - P.25

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 痤瘡は青春のシンボルともいわれ思春期に好発するとされるが,最近思春期後に発症する難治性女性痤瘡患者が増加している.このような患者は月経前に症状が増悪することが多いとされるため,筆者らはその内分泌動態を検討した.まず男性化徴候を伴わない思春期後発症痤瘡患者を健常女性を対照に,血中アンドロゲン値を測定した.結果はfree testosterone(FT)は35%,de—hydroepiandrosterone sulfate(DHEA-S)は44%,dihydrotestosterone(DHT)は54%と高率に異常高値を認めた.また臨床症状と血中FTとDHT値は正の相関関係を認めた.この結果より思春期後の難治性痤瘡病態は血中アンドロゲン動態が重要と考えられ,男性化徴候の一症状と考えられた.女性痤瘡患者の高アンドロゲン血症が卵巣,副腎のどちらが関与しているか検討するためにデキサメサゾン抑制試験を施行し,その高アンドロゲン血症の由来は主に副腎にあることが証明された.更に月経周期異常を有する思春期後発症痤瘡患者の血中ホルモン動態を検討し,その病態が多嚢胞性卵巣(PCO)と関連があるかを検討した.月経不順合併例では月経正常例よりLHの基礎値の高値とLH-RH試験においてLHの反応亢進と更なるFT, androstenedione(△4A)の高値を認め,PCOと密接な関係があることが示唆された.よって月経不順を伴った難治性痤瘡を診察する際には,超音波断層検査を含めた婦人科的診察も考慮する必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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