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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻5号

1997年04月発行

文献概要

Derm.'97

ステロイドの投与間隔

著者: 玉木毅1

所属機関: 1東京大学皮膚科

ページ範囲:P.109 - P.109

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 患者さんは26歳女性.SLEからPSS,PMと順次発症していったオーバーラップ症候群で数々の示唆に富む興味ある症例であった.SLEとPSSのオーバーラップとなった後に熱発と筋症状を示し,PM合併の診断のもとリンデロン®4mg内服にて解熱し筋脱力等の症状も寛解し,ステロイドを漸減していった.ところが2.5mgと2mgの交互投与とした時点で,再び熱発するようになった.感染症の合併か原病の再燃かと思案しながらベッドサイドで患者さんの話を聞いていた時のことである.温度板上では毎朝の検温で熱発していることになっていたのだが,話をよく聞いてみると夜中の3時頃に必ず悪寒がするのだと言う.患者さんの「夜の薬がここで切れるのでは?」という言葉に「そんな話は聞いたことがないな」と思いつつ,軽い気持ちで夕食後の内服を就眠前にずらしてみた.翌朝温度板を見ると,前日と同じように朝の検温で熱発していたので,「やっぱり関係なかったな」と思いながら患者さんの所に行ったところ,「今日は,朝6時頃に寒気がしたんです.」と言う.ちょうど内服をずらした時間の分だけ悪寒の出る時刻がずれたのでこれはと思い,思いきって(3錠−1錠−1錠)と投与していたパターンを崩し,(2錠−1錠−2錠)としたところ,翌日から熱発はピタリと止まってしまった.内服薬を毎食後投与というのは普段何気なく行っていることであるが,ちょっと考えると毎食後というのは時間的には均等な投与ではない.朝食と昼食の間は4〜5時間しかないのに,夕食と翌朝の朝食の間は12時間以上空くこともある.この症例はたまたま非常に微妙なステロイドの量加減で熱発が左右されるという珍しいケースで,通常はここまで考える必要はないのだろうが,こういうこともあるのだなと考えさせられた経験であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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