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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻5号

1997年04月発行

文献概要

Derm.'97

ダニとの攻防

著者: 畑康樹1

所属機関: 1慶應義塾大学皮膚科

ページ範囲:P.177 - P.177

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 当教室の真菌を扱うようになって早3年が経とうとしている.諸先生方に教わり,真菌の同定,ならびに培養,保存等に従事しているが,ある夏,ダニの大発生にみまわれ,大切な真菌の数多くを失ってしまった.ダニに汚染された真菌は一見しただけで独特の所見を呈し,これを顕微鏡で覗くとおぞましい,おどろおどうしたダニの輩がおいしそうに培地ならびに真菌の上を闊歩しているのが見える.そんなに不潔にしているわけでもないのにと思っていても,これまでこんなにダニにやられたことはないという先生方の視線は痛かった.しかし,ある学会で某教授がその施設でもその年ダニの大発生があり,苦慮しているとのお話をされているのを聞いてほっとしたのを覚えている.
 さて,以降我々は 1)スクリュウキャップからシリコン栓に代える,2)恒温器の中を大掃除し,ダニアースを噴霧,3)ダニに汚染された検体をいち早く発見し,始末する,などの対策を練って,ダニ防止に日夜励んでいる.1)により十分な酸素の供給ができなくなり真菌が死んでしまわないか,2)のダニアースの成分(ペルメトリン,サリチル酸フェニル)により真菌が影響を受けないだろうか等の不安はあったものの,現在のところダニの大発生からは免れている.しかし,単発性の発生は臨床材料を扱う点,不可避であり,油断は禁物で,今後もダニとの戦いは当分続きそうである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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