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Derm.'97
漢方治療への近道
著者: 荒浪暁彦1
所属機関: 1富士宮市立病院皮膚科
ページ範囲:P.182 - P.182
文献購入ページに移動そんな折,たまたま漢方の大家の診療を見学する機会を得た.先生は,どの患者も必ず腹部を触わる.いわゆる腹診である.漢方の専門書には,必ず1つの漢方薬に対応して腹証の解説がしてある.本に従い見よう見まねでやってみると確かに改善率が上がる.西洋医学者にとってこれら漢方独特の診察法は奇怪なものである.しかし,例えば漢方常用処方解説には,「漢方薬を学ぶ場合に初めから近代西洋医学の立場で批判しながら研究したのでは漢方薬を正しく理解することは難しい.白紙になって漢方に取り組むことが必要である.」と書いてある.その通りだと思う.私のような未熟者でも古典に従って漢方薬を処方すると,その効果に驚く.皮疹の性状のみで判断していても効果は上がらないと思う.私は最初,漢方薬を馬鹿にしていたが,今は西洋薬と双壁を成す治療手段であると考えるようになった.これからもっともっと東洋医学的処方法を学んでいきたい.それが漢方治療の近道だと確信する.
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