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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科51巻6号

1997年05月発行

雑誌目次

カラーアトラス

蛇行性穿孔性弾力線維症

著者: 力丸加乃 ,   津田眞五 ,   笹井陽一郎

ページ範囲:P.390 - P.391

患者 22歳,男性
初診 1994年8月12日

原著

Cutaneous angiomyolipomaの小括—症例報告と臨床的検討

著者: 鈴木睦実 ,   米澤郁雄 ,   小西二三男 ,   鈴木茂彦

ページ範囲:P.393 - P.398

 41歳,男性.自覚症状はなく,20年来漸次増大する右耳介の皮膚腫瘤を主訴に来院した.初診時,径26×37×25mm,茎部は10mm大の表面平滑で常色,弾性軟の球状有茎性腫瘤を認めた.表皮嚢腫,血管腫を疑い切除した.組織像では真皮中層から皮下に,pseudocapsuleを有する腫瘍塊が存在し,血管腔,平滑筋,脂肪から成る.以上より,cutaneous angiomyolipomaと診断した.Angiomyolipomaは過誤腫の性格を持つ,血管,平滑筋,および脂肪から成る良性の間葉系腫瘍と考えられている.腎発生例が多く,結節性硬化症との合併で注目されている.皮膚では我々の調べた限り,1986年のArgenyiらの報告以来,自験例を除いて12例の報告がみられるが,本邦では報告例がない.Angiomyolipomaの腎および皮膚の臨床的特徴について,文献的考察を加えて検討した.

今月の症例

Mid-dermal elastolysis

著者: 稲積豊子 ,   福永麻紀 ,   清水宏 ,   仲弥 ,   西川武二 ,   佐藤美貴 ,   多島新吾

ページ範囲:P.399 - P.404

 37歳,女性.約17年前より特に誘因,前駆症状等なく,躯幹,四肢に細かい皺襞を有する局面が出現,徐々に拡大.家族歴に特記すべきことなく,全身症状も特に認めない.組織学的に真皮中層の弾性線維の消失,電顕にて弾性線維のマクロファージによる貪食像が認められた.以上より本症例をmid-dermal elastolysisと診断し,既報告例と合わせて文献的考察を行った.

タール・ピッチによる皮膚障害の1例

著者: 宮本雅人 ,   高橋一夫 ,   吉田貞夫 ,   長谷哲男 ,   中嶋弘

ページ範囲:P.406 - P.408

 40歳,男.20歳時からタール・ピッチが充満する弾丸工場で働いていたが,10年経過の30歳ころから露出部に色素沈着,色素脱出,紅斑,疣贅状皮疹などが出現し,漸次増悪してきた.疣贅様皮疹の病理組織学的所見は,三部に錯角化を伴う著しい角質増生,表皮肥厚,表皮突起の延長,基底細胞ないし有棘細胞の軽度の異型性,真皮上層の小円形細胞浸潤などで,前癌状態を思わせた.また,細胞周期に関わるFas, P53,サイクリンD1,cdk 4などの免疫組織化学的所見も前癌状態に矛盾しないものであった.

症例報告

下顎骨慢性骨髄炎による難治性多発性皮下膿瘍の1例

著者: 増田陽子 ,   松本義也 ,   上田実 ,   鳥居修平

ページ範囲:P.409 - P.411

 70歳男性の下顎骨慢性骨髄炎によると考えた難治性の下顎部多発性皮下膿瘍の1例を報告した.膿汁からの細菌・真菌・抗酸菌培養,さらに組織の真菌培養の結果はすべて陰性であり,膿汁のグラム染色でも菌要素は認められなかった.オルソパントモグラフィーにて,下顎骨骨体部に虫喰い状の透過像が見られ,骨髄炎と診断された.手術時に,骨髄炎の部位と皮下膿瘍とを連絡する多数の瘻孔があり,骨髄炎による皮下膿瘍と考えられた.入院後,下顎骨区域切除術,金属プレートによる顎骨再建術を行い,筋皮弁にて再建術を行った.手術の1年後,再発は認めていない.

BCGに続発した腺病性苔癬の1例

著者: 大井知教 ,   堀内令久 ,   田上八朗 ,   薄場真

ページ範囲:P.412 - P.414

 5か月女児のBCG接種に続発した腺病性苔癬の1例を報告した.症例はBCG接種を受けて約1か月後より全身に汗疹様の紅色丘疹や痤瘡様皮疹が出現した.抗生剤の内服,外用を中心とした治療を約2週間受けたが軽快せず,皮膚科専門医を経て当科に紹介された.初診時,ほぼ全身に直径2〜5mm大の紅色丘疹が多発していた.丘疹は毛孔一致性で周囲に紅斑を伴い一部の丘疹は頂部に鱗屑をつけていた.前腕部より生検を行い,真皮上層から皮下脂肪織の直上まで毛嚢,汗腺の近傍に膠原線維間に入り込むように類上皮細胞よりなる乾酪壊死のない肉芽腫像を認めた.以上の臨床像と組織学的所見に加えてPCR法で皮疹部に結核菌が陰性であったことより,BCG接種による腺病性苔癬と診断した.真性結核の減少を反映し本症は比較的まれではあるが,小児のBCG接種に続発した例が多くなっており,注意すべきものと考えた.

炎症性辺縁隆起性白斑の1例

著者: 山本由美 ,   吉原伸子 ,   乃木田俊辰 ,   川島眞

ページ範囲:P.416 - P.418

 53歳,男性.初診の1年半前より両鼠径部の脱色素斑に気づき,ステロイド外用を行うも,紅斑が先行する脱色素斑が徐々に全身に増数した.初診時,脱色素斑は全身に散在し,一部ではその辺縁に軽度隆起した紅斑を認めた.紅斑部の組織学的所見では苔癬型反応を認め,液状変性部に一致して表皮細胞にHLA-DRの発現がみられた.電顕所見では,リンパ球とランゲルハンス細胞の接着像も観察され,本症の発症に表皮細胞をターゲットとした細胞性免疫が関与し,二次的に色素脱失をきたす機序が示唆された.紅斑,脱色素斑の新生に対してステロイド内服が奏効した.

女性外陰部扁平苔癬の1例

著者: 佐川牧子 ,   滝脇弘嗣

ページ範囲:P.420 - P.422

 69歳,女性.初診時の数年前より外陰部の不快感と排尿時痛が出現.小陰唇の萎縮とビロード状潮紅を伴うびらんを認め,生検にて扁平苔癬と診断した.口腔内にも典型的な扁平苔癬を合併した.女性外陰部の扁平苔癬の報告例は本邦ではほとんどないが,海外例ではほぼ全例に口腔扁平苔癬を合併しており,萎縮やびらんを呈する女性外陰部皮疹の診察にあたっては口腔の観察も重要であると思われた.

非水疱性先天性魚鱗癬様紅皮症の1例

著者: 宮本雅人 ,   吉田貞夫 ,   馬場直子 ,   佐々木哲雄 ,   池澤善郎 ,   中嶋弘

ページ範囲:P.424 - P.426

 非水疱性先天性魚鱗癬様紅皮症の1例を報告した.症例は2か月,男児.出生時に顔面,上肢,下肢を中心にほぼ全身に光沢を有するびまん性潮紅があり,2週間後に潮紅はやや薄くなり,鱗屑が著明になってきた.家族内に同症の者はいなかった.病理組織像は,表皮では角質増生,不全角化,表皮肥厚が認められ,真皮では特に著変は認められなかった.治療は10%尿素軟膏にて経過を観察している.

良性黒色表皮腫の1例

著者: 高橋亜由美 ,   石川治 ,   宮地良樹

ページ範囲:P.427 - P.429

 27歳,男.胸部,腹部,背部,および間擦部に黒褐色角化性丘疹を認め,病理組織学的所見より黒色表皮腫と診断した.肥満,薬剤投与の既往もなく,内分泌異常も認めず,また幼少時より皮膚症状が存在することから,genodermatosisとしての良性黒色表皮腫と考えた.Genodermatosisとしての黒色表皮腫は比較的まれな疾患であり,また本症例は皮疹が間擦部のみでなく,腹部,背部に広範囲に及んでいることから興味深い症例と考えた.

丹毒様紅斑がみられた本態性血小板血症の1例

著者: 佐々木千秋 ,   高橋正明 ,   李宗泰 ,   浅野千秋

ページ範囲:P.431 - P.433

 59歳,女性.右下腿に熱感,浸潤を伴った暗赤色紅斑が出現し,近医で抗生剤の点滴を13日間行うも軽快せず当科を受診.初診時の血液検査で血小板増多を認め,当院内科にて本態性血小板血症と診断された.皮疹は丹毒と考え,当科でも抗生剤の点滴と内服を施行したところ,徐々に軽快し始め,血小板血症の治療を開始する前にほぼ消退した.検査結果からは丹毒の診断を確定できなかった.皮疹の原因として,本態性血小板血症に伴う皮膚症状の可能性と,同症に伴う末梢循環障害のため治療経過が遅延した皮膚感染症の可能性が考えられた.

コレステロール結晶塞栓症の1例

著者: 杉澤裕 ,   五十嵐敦之 ,   原田昭太郎 ,   原田美貴 ,   五味昭彦 ,   竹内靖夫

ページ範囲:P.434 - P.436

 皮膚症状を主症状とし皮膚生検にて診断された,コレステロール結晶塞栓症の73歳男性例を報告した.大動脈冠動脈バイパス術後4年間,抗凝固療法を継続中,両側の第IV,V趾に有痛性紫紅色斑が出現.右側は急速に潰瘍化し網状皮斑も認められた.足背動脈の拍動はよく触知された.ワーファリン内服を中止し皮膚生検を行い組織学的に診断が確定した.その後,壁在血栓を伴う腹部大動脈瘤が発見され,抗凝固療法を誘因としてコレステロール結晶の飛散が生じ下肢の小動脈を塞栓したものと考えられた.一過性に蛋白尿を認めたことを除き,皮膚以外の臓器に異常所見はなかった.現在皮疹は軽快しつつある.本邦における本症の報告は少なく,皮膚科領域に限ればこれまで5例のみである.血管操作や抗凝固療法を受けている患者の下肢末梢部に虚血性皮膚病変があり,足背動脈が触知される場合,本症を念頭に置き積極的に皮膚生検を行うことが肝要と考えられる.

十二指腸潰瘍を伴ったアナフィラクトイド紫斑の1例

著者: 水木大介 ,   伊藤あおい ,   長島弘明 ,   野村和夫 ,   橋本功 ,   小枝淳一 ,   田崎理子

ページ範囲:P.437 - P.439

 33歳,男性.38℃台の発熱と咽頭痛を生じ,その6日後より両大腿に紫斑,小水疱,血疱が出現.次第に下腹部,腰臀部,下腿にも広がった.組織所見はleukocytoclastic vasculitis.皮疹出現後8日目に突然上腹部の激痛が出現.上部消化管内視鏡検査にて,十二指腸下行部2か所に穿孔直前の深い潰瘍が認められた.プレドニゾロンおよびH2—blocker製剤の投与により,腹痛は著明に改善,皮疹出現後32日目には内視鏡的に潰瘍も瘢痕治癒した.その後プレドニゾロンは漸減中止した.アナフィラクトイド紫斑において,穿孔に至るような重症の十二指腸潰瘍合併例は比較的稀であるが,重篤な消化管合併症の早期発見のために,内視鏡検査は必要不可欠であると思われた.

Churg-Strauss症候群の1例—病勢の評価における血清レベルのECPおよびサイトカイン測定の意義

著者: 折原緑 ,   福田知雄 ,   塩原哲夫 ,   三浦洋 ,   小林治

ページ範囲:P.440 - P.443

 53歳,女性.約7年前より呼吸器症状が出現.Pulmonary infiltration with eosinophiliaの診断のもとプレドニゾロン内服にて経過観察中,関節痛および手足に出血斑が出現.病理組織学的に初期病変には真皮浅層から中層の血管周囲性に好酸球主体の細胞浸潤を認め,時間の経過とともに細胞浸潤が好中球主体へと変化する像が確認された.病勢の評価には白血球数,好酸球数,IgE値に加えeosinophilic cationic proteinを経時的に測定.また,血清レベルで各種サイトカインを測定し比較検討した.

限局性強皮症様皮膚病変を呈した進行性顔面半側萎縮症の1例—発症基盤からみた分類の検討

著者: 野村和夫 ,   橋本功

ページ範囲:P.444 - P.447

 限局性強皮症様皮疹を呈した進行性顔面半側萎縮症の1例を報告するとともに,本症の随伴する病態の解析を試みた.症例は12歳,男子.左頬部から下顎部にかけて半側萎縮がみられ,開口障害,舌萎縮も伴う.同部の皮膚は帯状に硬化,色素沈着を呈する.組織では,膠原線維の増生,膨化,均質化に加えて,脂肪織にも及ぶリンパ球の巣状浸潤.抗核抗体,抗DNA抗体陽性.最近15年間の本邦報告例27例を検討すると,男女比,罹患側には差がなく,平均発症年齢は14.6歳であった.随伴症状として強皮症,あるいは強皮症様皮膚変化が10例,神経系の異常が9例,免疫異常が4例に認められた.したがって,本症を発症基盤の面から分類すると,本症は強皮症に伴うもの,神経系の異常によるもの,免疫異常の3群に大別され得ることがわかった.

皮膚筋炎の5例

著者: 布袋祐子 ,   木花いづみ

ページ範囲:P.449 - P.452

 1990〜1995年の間に当科にて経験した皮膚筋炎5例をここにまとめ報告した.5例中男性は3例,女性は2例で,年齢は64〜77歳と高齢であった.皮膚症状としては全例に激しい掻痒を伴い,また光線過敏性皮膚炎を思わせる日光露光部の紅斑が初発症状として特徴的であった.全例に悪性腫瘍の合併を認め,そのうち胃癌が2例,胆嚢癌が1例,原発不明の骨転移が1例,胸腺癌が1例であった.皮疹が癌の発見のきっかけとなった症例が2例存在したが,いずれも進行癌であった.癌摘出にて一時的に症状の軽快を見た症例もあったが,最終的には副腎皮質ホルモン剤に頼らざるを得なかった.シクロスポリンが効果的と思われた症例もあったが,その使用にて癌を助長させた可能性もあり,十分な悪性腫瘍の検索が必要かと思われた.

Phenytoinが奏効したlinear IgA bullous dermatosis of childhoodの1例

著者: 野口俊彦 ,   坪井広美 ,   藤岡彰 ,   橋本明彦 ,   浅井俊弥 ,   瀬在由美子

ページ範囲:P.453 - P.455

 3歳,男児.初診1か月前より水疱が出現し,徐々に全身に広がった.初診時,ほぼ全身に緊満性水疱,浮腫性紅斑がみられ,一部の紅斑の辺縁には小水疱が環状に配列していた.組織学的には表皮下水疱で,蛍光抗体法にて基底膜部に一致してIgAの線状沈着が認められた.以上よりlinearIgA bullous dermatosis of childhood(LABDC)と診断した.DDSの投与により水疱,紅斑とも消退したものの肝機能障害が出現したためDDSを中止した.Phenytoin 8mg/kg投与し有効血中濃度に達した頃より,水疱,紅斑は消退し始めた.Phenvtoinの効果を検討するため減量したところ,水疱が新生し始め,元の量に戻すと水疱は消失した.略治状態で3年かけて減量した.投与中止後2年経過するが再発は見られていない.Phenytoinが著効したLABDCの報告はなく,その作用機序を含め若干の文献的考察を行った.

Perforating dermatosesの5例

著者: 白石葉月 ,   三浦隆

ページ範囲:P.457 - P.459

 異物排除性皮膚症(elimination dermato—ses)のうち表皮内穿孔路を通って異物が排除される反応様式を示すperforating dermatosesに属する5例(穿孔性環状肉芽腫1例,後天性反応性穿孔性膠原症2例,穿孔性毛包炎2例)を一括要約し,その発症機序に検討を加えた.特に後天性反応性穿孔性膠原症の場合,いわば,ふるい状の多孔性穿孔が確認された点が興味深いものであった.

陰茎と臍部に生じたbowenoid papulosisの1例

著者: 高松由佳 ,   鍛冶友昭

ページ範囲:P.461 - P.463

 陰茎に初発,臍窩にも病変を生じたbowen—oid papulosisの1例を報告した.23歳時から陰茎に黒褐色丘疹が多発,5 FU軟膏外用で一旦は消失したが再発あり,外用を継続.陰茎に初発後12年目(35歳時),臍部にも黒褐色丘疹が出現した.その組織像はbowenoid papulosisに定型的.冷凍凝固術と5 FU軟膏外用で消失,しかし再発を繰り返す.臍部にbowenoid papulosisを生じた本邦報告例は,われわれの調べ得た限りでは自験例の他に1例だけであった.

背部に発生した熱傷瘢痕癌の1例

著者: 林原伸治 ,   河村進 ,   万代光一

ページ範囲:P.464 - P.466

 背部の熱傷瘢痕より発生した巨大熱傷瘢痕癌の1症例を報告した.66歳,男性.14歳時に背部ほぼ全体に及ぶ熱傷を負った.植皮術は施行されず,保存的に治療を受けていたが,背部には長期にわたり難治性潰瘍が存在していたようであった.当院受診時には背部中央に乳頭様増殖を示す巨大潰瘍があり,下床に膿瘍を形成していた.リンパ節転移は認めなかった.治療として腫瘍切除,術後化学療法を行ったが,術後に腋窩,鼠径部にリンパ節転移を生じた.このため放射線療法を追加し,良好な結果が得られた.

腹部皮膚に原発した乳幼児線維肉腫の1例

著者: 芦田敦子 ,   大久保幸子 ,   渡辺朋美 ,   土肥庄二郎 ,   斎田俊明

ページ範囲:P.467 - P.469

 7か月,男児の腹部皮膚に原発した乳幼児線維肉腫(infantile fibrosarcoma)の1例を報告した.生後4か月より,下腹部に小豆大紅色丘疹が出現し,急速に隆起,増大した.近医初診(生後5か月)時,下腹部やや右側に14×8×5mmのドーム状に隆起する紅色結節が認められた.その1か月後,さらに増大し,単純切除術を施行した.病理組織像では真皮上層から皮下にかけて,小型紡錘形,類円形の腫瘍細胞が密に増殖し,一部束状配列を認めた.また,血管の増生とその周囲に多数のリンパ球浸潤を認めた.免疫組織学的検討では,vimentinのみ陽性.本症と診断し,局所の広範囲切除を施行した.10か月後の現在まで再発.転移はみられない.

連載

Clinical Exercises・50—出題と解答

著者: 多田讓治

ページ範囲:P.414 - P.414

 99 正しいものはどれか.
  ①アトピー性皮膚炎の病変部からは,黄色ブドウ球菌が高率に検出される.

Practical English for Busy Physicians・41

著者:

ページ範囲:P.470 - P.470

Helsinkiの規則とは,AAD総会,生涯教育制度について
 あなたは人体を使って実験を行っていますか.もしそうだとしたらあなたのところにはInstitutionalReview Board(IRB)の機関があり,しかもDeclaration of Helsinkiの規則に乗っ取りあなたの実験がきちんとしたものか調べていますか.さてDeclarationof Helsinkiとは何でしょうか.英語で書かれている医学雑誌のおよそ半分(特に有名雑誌はほとんど)が1995年Abridged Index Medicusが出版しているガイドライン,つまり人体実験はIRBに認められたものでなければならないというガイドラインをリストに挙げております.March 19, 1997号のJournal ofthe American Medical Association(JAMA)の925ページにHelsinkiガイドラインが出ており,また同誌にはおもしろい記事やこのガイドラインについての論説も入っています.私としてはぜひこれらを読んで頂いてあなたの研究を確かなものとし,論理的基準を確立して下さい.

治療

下口唇部有棘細胞癌の切除後の両側唇弁反転法を用いた再建例

著者: 刈谷公美 ,   中島英貴 ,   永野弓枝 ,   平田靖彦 ,   山本康生 ,   小玉肇

ページ範囲:P.471 - P.474

 87歳,男性.1年半前より下口唇にびらんが出現し,扁平苔癬と診断した.エトレチナートの内服は有効であったが,内服を中止した半年後より同部が隆起しはじめ,乳頭腫状の腫瘤となった.組織検査の結果,有棘細胞癌と診断し,全身麻酔下にて摘出術を施行した.約65%の下口唇全層欠損となったため,上口唇動脈を含む両側唇弁反転法(Reversed Abbe Flap)を用いて再建した.唇弁切離術は11日後に行い,その翌日より義歯の装着は可能だった.また,扁平苔癬の組織像のなかに角化傾向の強い細胞が真皮内に浸潤している像が見られ,この部より有棘細胞癌が発生したと考えた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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