原著
インターフェロンにより増悪した尋常性乾癬
著者:
伊藤あおい1
馬場貴子1
沢村大輔1
野村和夫1
橋本功1
梅木薫2
所属機関:
1弘前大学医学部皮膚科教室
2国立弘前病院皮膚科
ページ範囲:P.489 - P.493
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インターフェロン(IFN)により増悪した乾癬の2自験例を報告するとともに,既報告30例について乾癬の増悪,発症とIFNの関係について検討を行った.症例1:47歳,女性.約10年前発症の乾癬がC型肝炎のIFN—α治療により増悪.中止後一時軽快したがIFN—β治療で再燃.膿疱化を伴う.症例2:68歳,男性.5〜6年前発症の乾癬が腎細胞癌のIFN—α治療により増悪.既報告30例の検討では,IFN投与後乾癬が増悪・発症するまでの期間,総投与量,軽快に要した期間をそれぞれ平均±標準偏差で表すと,7.2±12.4週,307±489 million units,4.7±3.0週であった.乾癬既存例と非既存例に分けて検討したところ,増悪,発症までの期間はそれぞれ2.7±1.3週,11.8±16.8週で,乾癬既存例で有意に短かった(p<0.05).また,推計学的に有意ではなかったが,乾癬非既存例に比し既存例ではIFNの総投与量が少なく,軽快するまでの期間が長い傾向が認められた.なお,膿疱化の報告は2例のみであった.