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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻7号

1997年06月発行

文献概要

症例報告

ステロイドとDDSの併用が腎炎に効果的であったアナフィラクトイド紫斑の1例

著者: 新山史朗1 石塚敦子1 種井良二1 石館武夫2 島田肇3

所属機関: 1北里研究所メディカルセンター病院皮膚科 2北里研究所メディカルセンター病院小児科 3北里研究所メディカルセンター病院内科

ページ範囲:P.513 - P.515

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 症例は46歳,男.1995年上旬より四肢に米粒大までの紫斑が出現.消化器症状,関節症状はなかったが,1日1gを越える蛋白尿と肉眼的血尿を認めた.組織学的に皮膚では真皮上層の細小血管に壊死性血管炎の像を,腎ではメサンギウム増殖性糸球体腎炎の像を呈し,螢光抗体法にていずれもIgAの沈着が確認された.紫斑病性腎炎を伴うアナフィラクトイド紫斑と診断し,安静と止血剤で治療したところ紫斑は消褪したものの,腎症状は増悪してきた.このためパルス療法(メチルプレドニゾロン1000mg3日間静注)を施行,その後プレドニゾロン40mg,抗血小板剤内服とし,3週間経過観察したが尿蛋白は3gを越えるようになった.そこでDDS 75mgを追加したところ,2週間後には尿蛋白は1g以下となり腎症状の改善を認めた.紫斑病性腎炎にステロイド剤の有効性は評価の分かれるところであるが,皮膚科領域で頻用されるDDSは腎炎にも有効との印象を得た.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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