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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻8号

1997年07月発行

文献概要

今月の症例

線状脂腺母斑症候群の1例

著者: 馬場直子1 岩本弘子2 田中祐吉3 竹川恵4 石井則久4 中嶋弘4

所属機関: 1神奈川こども医療センター皮膚科 2神奈川こども医療センター小児科 3神奈川こども医療センター病理科 4横浜市立大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.607 - P.610

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 線状脂腺母斑症候群(linear sebaceousnevus syndrome)は線状の配列をとる脂腺母斑を主徴とし,痙攣,知能障害の他,広範囲な臨床症状を示す比較的稀な神経皮膚症候群である.今回,生後4か月で線状脂腺母斑症候群と診断し,調べ得た範囲では本邦14例目と思われる症例を経験したので報告する.出生時より,顔面,頭頸部,上胸部に脂腺母斑が線状に多発し,頭頂部に脱毛を伴う巨大なリンパ管腫,顔面と前頭部に大小の色素性母斑,両上眼瞼に部分的欠損と小腫瘤が認められた.眼科的に角膜輪部デルモイド,両網膜萎縮巣が,頭部CT・MRIで右片側性巨脳症が,脳波では右側頭葉に棘徐波複合が認められた.著明な運動発達遅滞と痙攣が認められ,今後の運動発達・知能障害の程度や,皮疹の外観上の問題,脂腺母斑よりの皮膚付属器腫瘍の発生など,経過観察すべき多くの問題が残されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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