臨床皮膚科51巻8号

1997年07月発行

症例報告

乾癬様皮疹を呈したサルコイドーシス（局面型）の1例

著者： 松木圭子¹³ 宮下文¹ 吉栖正巳² 槙系² 岸本三郎³ 安野洋一³

所属機関： ¹近江八幡市民病院皮膚科 ²近江八幡市民病院内科 ³京都府立医科大学皮膚科学教室

ページ範囲：P.619 - P.621

　50歳，女性に発症した乾癬様皮疹を呈したサルコイドーシス（局面型）の1例を報告した．顔面の皮疹は定型的な局面型の皮疹を呈したが，上肢の皮疹は径3cm大までの落屑性紅斑で，臨床的に尋常性乾癬を思わせた．組織学的に上肢の皮疹は真皮内に非乾酪性の類上皮細胞肉芽腫像を認め，表皮に不全角化，微小膿瘍，顆粒層の消失，基底層の液状変性を認めた．したがって，自験例の組織変化は不十分ながらもpsoriasiformtissue reactionの概念に相当すると思われたがpsoriasiform sarcoidosisとは言い難く，乾癬様の非定型的な臨床像を呈した局面型皮膚サルコイドと考えた．胸部X線像にてbilateral hilarlymphadenopathyを認め，サルコイドーシスと診断した．