icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻8号

1997年07月発行

文献概要

症例報告

舌に発生した脂肪腫の1例

著者: 杉澤裕1 松山友彦1 林伸和1 北原比呂人1 五十嵐敦之1 原田昭太郎1 須田聰2 斉藤健一2 原田美貴3

所属機関: 1関東逓信病院皮膚科 2関東逓信病院口腔外科 3関東逓信病院病理診断科

ページ範囲:P.662 - P.664

文献購入ページに移動
 舌の両側に発生した脂肪腫の1例を報告した.症例は63歳男性で,自覚症状のない舌の腫瘤を主訴に来院.両側舌縁部に粘膜下腫瘍を認め,右側では表面が黄白色調を呈していた.組織学的には単純性脂肪腫の像のほか,脂肪細胞が筋東間に小蜂巣を形成するように増殖する脂肪腫症の所見もみられた.舌の脂肪腫は稀な腫瘍であり,本邦では数十例が口腔外科領域を中心に報告されているが,その半数近くは両側性である.近年,舌に筋肉脂肪腫あるいはbenign symmetriclipomatosisが発生したとの報告が,主に本邦より数例みられる.自験例では筋線維の萎縮を伴わないため,筋肉内脂肪腫とはいえない.また舌のみに脂肪腫症が生じた症例は,benign symmet—ric Iipomatosisの疾患概念に合致しないと考えられる.舌の脂肪腫は臨床的に診断が可能であり,口腔内をみる機会の多い皮膚科医が念頭におくべき疾患と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?