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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科51巻9号

1997年08月発行

今月の症例

好酸球性膿疱性毛嚢炎様の皮疹を認めたHIV感染症

著者: 早川順1 福田正之1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.693 - P.696

文献概要

 43歳,男性.腹部,両下肢を中心とした瘙痒性の膿疱を伴う紅色皮疹を主訴に来院.病理組織所見では,毛嚢を中心とした好中球,好酸球の浸潤あり.皮疹の悪化とともに38℃台の発熱と両鼠径部リンパ節の腫大を認め,CD4/CD8比の逆転より,AIDSを疑った.HIV抗体検査陽性であったが,日和見感染等なく,AIDS関連症候群への移行期と考えた.膿疱の細菌培養検査において黄色ブドウ球菌が検出されたため,ブドウ球菌性毛嚢炎と考えられたが,皮疹が辺縁に膿疱を伴う局面を形成している点で,好酸球性膿疱性毛嚢炎との異同が問題となった.HIV感染に伴うブドウ球菌性毛嚢炎は強い瘙痒を伴う丘疹で,しばしば湿疹化し,好酸球やIgEの上昇を特徴とする.自験例のような難治性の毛嚢炎を認めた場合,HIV感染を疑う必要があるものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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