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症例報告
皮下気管支原性嚢腫の1例
著者: 寺内雅美1
所属機関: 1沼津市立病院形成外科
ページ範囲:P.729 - P.731
文献購入ページに移動 胎生期原始前腸に由来し,その分化発育過程の異常により発生すると言われている気管支原性嚢腫が皮下に発生した本邦第18例目と思われる症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.症例は58歳男性.幼児期より前胸部皮下に結節があり徐々に拡大してきたため来院,手術時10×8cm大の皮下腫瘤を局所麻酔下に摘出術施行.病理組織学的に嚢腫壁は多列繊毛円柱上皮で,その外層に平滑筋の層を認め,Goblet cellも見られた.アルシアン・ブルー染色およびジアスターゼ抵抗性PAS染色では嚢腫壁の一部の細胞や粘液腺の一部で陽性を示した.軟骨組織は認めなかった.以上の所見より皮下気管支原性嚢腫と診断した.胸骨上切痕に見られる皮下腫瘤では本症も考慮し,悪性化の可能性もあるため積極的に摘出し,病理組織検査を行うべきと思われる.
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