症例報告
全身性エリテマトーデスの4歳女児例
著者:
大塚俊1
原典昭1
山蔭明生1
山崎雙次1
久保川透2
所属機関:
1獨協医科大学皮膚科学教室
2久保川皮膚科
ページ範囲:P.37 - P.40
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4歳,女児.2歳頃より冬季になると両手指,両足に凍瘡様皮疹あり.4歳時,全身倦怠感,発熱,関節痛,顔面の紅斑が出現.初診時,抗核抗体640倍(homogeneous-speckled pat—tern),抗ds-DNA抗体80IU/ml,抗ss-DNA抗体255IU/ml,抗SS-A抗体16倍,LE細胞(+).CH 5011U/ml,尿蛋白200mg/日.光線過敏なし.顔面紅斑の組織学的所見は典型的.プレドニゾロン20mg/日より投与開始し,臨床症状,検査所見ともに徐々に軽快.現在,10mg/日にて経過観察中.家系内を検討したところ,姉(10歳)は抗核抗体40倍(speckled pat—tern),兄(7歳)は抗核抗体20倍(speckled pat—tern)と各々陽性であった.小児の全身性エリテマトーデス(SLE)は成人例に比べ,症状が多彩で予後不良といわれている.本邦の統計では,診断時年齢が5歳以下のものは非常に稀である.SLEの乳幼児例について考察を加えた.