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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻10号

1998年09月発行

文献概要

症例報告

塩酸アミトリプチリンが奏効した剥脱性口唇炎の1例

著者: 谷口彰治1 幸野健2 山本直樹34

所属機関: 1大阪鉄道病院皮膚科 2大阪市立大学医学部皮膚科学教室 3コロンビア大学医学部精神医学教室 4ニューヨーク州立精神医学研究所

ページ範囲:P.819 - P.821

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 16歳,男性.約半年前より下口唇の落屑,びらんが出現し徐々に増悪,上口唇に拡大した.鱗屑を無理に剥がすと,一時軽快するが,すぐに再燃した.組織学的には不全角化を伴った粘膜上皮の肥厚,粘膜固有層での炎症細胞浸潤を認めた.真菌培養は陰性で,光線過敏性は証明されなかった.剥脱性口唇炎と診断し,白色ワセリン,尿素軟膏,副腎皮質ホルモンなどの外用を行うも効果なく,液体窒素による冷凍療法も効果は一時的であった.抗うつ剤の一種である塩酸アミトリプチリン(50mg/日)の内服を試みたところ4週間後に両口唇の発赤,腫脹は軽快,3か月後には薄い鱗屑の付着を認めるのみであった.自験例の発症要因は明確ではないが,抗うつ剤の一種が奏効し,神経学的および精神医学的要因が関与していた可能性を考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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