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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻10号

1998年09月発行

文献概要

症例報告

巨大な局所型環状肉芽腫の1例

著者: 荒木幹雄1 高橋靖幸1 塚本克彦2 大竹直人2 島田眞路2

所属機関: 1共立蒲原総合病院皮膚科 2山梨医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.832 - P.834

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 72歳,男性.3年前より,左胸部から左背部にかけて,特異な,巨大な環状紅色隆起局面を認めた.右肩にも同様の局面を認めた.初診時,左胸部から左背部にかけての皮疹の大きさは,11×34cm,右肩の皮疹は4×5cmであり,辺縁の隆起局面の幅は0.5cmから2cmであった.病理組織では,真皮上層から中層にかけて,リンパ球,組織球,多核巨細胞が浸潤し,真皮中層に,膠原線維の変性は不明確ながら,浸潤細胞の柵状配列を認めた.Alcian blue染色にて膠原線維間にムチンの沈着を認めた.巨細胞による弾性線維の貧食像は認めず.アンギオテンシン変換酵素は正常値,ツベルクリン反応は中等度陽性.組織培養にて,細菌,真菌,抗酸菌とも陰性であり,環状肉芽腫と診断した.皮疹は生検およびステロイド外用にて約1か月でほぼ消退した.本症例は,抗核抗体160倍陽性等の免疫血清学的異常,境界型糖尿病,および肝疾患(C型慢性肝炎,肝血管腫,肝硬変,肝細胞癌)を伴った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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