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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻12号

1998年11月発行

症例報告

多発する伝染性軟属腫から診断したHIV感染症

著者: 新山史朗12 岡本潔1 音山和宣1

所属機関: 1鹿島労災病院皮膚科 2北里大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1034 - P.1036

文献概要

 症例は61歳,男性.外国人就業女性を含めた性交渉あり.尋常性乾癬にて治療中であったが,経過中全身に伝染性軟属腫が多発した.治療に抵抗性であったため,HIV(human immuno—deficiency virus)抗体を測定したところ陽性.HIV感染者における伝染性軟属腫の特徴としては,好発年齢を問わず発育が急速であり大型である.また数が極めて多数となり新しい病変が次々に現れ自然治癒することがない,等が挙げられる.免疫学的には,CD4陽性リンパ球数が少ないものほど発生率が高く,病変が広範囲になる傾向がある.また伝染性軟属腫が陰部に認められた患者では,約30%の割合で他の性感染症を合併しているとの報告がある.伝染性軟属腫は小児の皮膚病として日常診察する機会の多い疾患ではあるが,性行為感染症,あるいは免疫不全の部分症状でもあるとの認識が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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