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症例報告
骨髄移植後の患者に生じた原発性皮膚アスペルギルス症
著者: 池内昭博1 上田富士雄1
所属機関: 1社会保険京都病院皮膚科
ページ範囲:P.1037 - P.1039
文献購入ページに移動 20歳,男性.急性リンパ性白血病と診断され,骨髄移植が施行されるも生着不全.その後,化学療法施行中に左側胸部に約1.5cmの皮下硬結が出現し,非ステロイド系抗炎症剤外用を行っていたが,約2か月後には直径約5cmの黒色壊死局面を呈してきた.メスにてデブリードマンを施行すると,黒色壊死局面の下は壊死組織に裏打ちされたポケットになっており,黄色澄明調の排液と直径約15mmの球状の膿塊を認めた.デブリードマン時,好中球数は0であった.真菌症を疑い,苛性カリにて膿塊を直接検鏡したところ多数の菌糸を認め,培養により.Aspergillus flavusと同定した.ポケット内にビフォナゾールクリームを注入しガーゼタンポンを挿入,デブリードマンを施行し,フルコナゾールおよびミコナゾールの点滴静注を行ったが病変の改善はなく,患者は敗血症にて永眠された.自験例は好発部以外に発症しており,当初診断に苦慮した.
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