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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻13号

1998年12月発行

文献概要

症例報告

動脈造影後急激に増悪したクリオフィブリノーゲン血症

著者: 高山かおる1 山本俊幸1 佐藤貴浩1 横関博雄1 片山一朗2 西岡清1

所属機関: 1東京医科歯科大学皮膚科学教室 2長崎大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.1101 - P.1104

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 60歳,女性.結節性動脈周囲炎の疑いで精査,加療中,急速に右足趾に壊死や足背に打ち抜き状の小潰瘍が多発.血管炎の悪化か血栓症による増悪か鑑別するため生検および動脈造影を行った.その結果前脛骨動脈,後頸骨動脈の途絶が確認された.側副血行路は足背にわずかに認められるにすぎなかった.病理組織では血栓がみられ,血漿中にクリオフィブリノーゲンが検出されたためクリオフィブリノーゲン血症による血管閉塞と診断した.造影後ワーファリン®投与を開始したが急速に右足趾全体は黒色化し,潰瘍も拡大した.造影剤による血管内皮細胞の障害や血液粘度の上昇が血栓形成を促し症状を増悪させたと思われた.末梢の重度の循環障害が疑われる場合の動脈造影は診断および治療上のメリットの有無を十分に熟考した上で,より慎重に行うべきであると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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