症例報告
Bowen病に合併した皮膚良性リンパ球腫
著者:
速水誠1
藤谷孜2
所属機関:
1速水皮膚科
2藤谷内科医院
ページ範囲:P.1130 - P.1133
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77歳,女性の背部に生じた典型的Bowen病の全摘出標本に明瞭なリンパ濾胞の形成を伴うlymphadenosis benigna cutis像を認めた.われわれの検索し得た範囲ではこの両者が合併したという報告は現在まで報告されていない.細胞浸潤巣はgrenz zoneなく基底膜に接し,表皮に扁平苔癬に類似した変化を認めた.免疫組織検索で濾胞中心部の明るい大型細胞はCD−20陽性のB細胞,大部分をなす暗色小型細胞はCD−45ROおよびCD−3陽性のT細胞であった.胚中心にはcentroblast, centrocyte, tingible bodyを持つ貧食細胞,核分裂像を認めたが,T細胞にも異型像はなかった.HE染色標本では認められず,CD−20染色を行って初めて発見できたB細胞集塊が存在したことと,あまりにも種々雑多の疾患との合併が報告されていることより,今後免疫組織学的検索が進めば,本症はありふれた非特異的現象にすぎないことが判明するのではないかと考えた.