原著
成人型アトピー性皮膚炎と白内障・網膜剥離
著者:
加藤直子1
松下卓郎2
有賀浩子2
所属機関:
1国立札幌病院皮膚科
2国立札幌病院眼科
ページ範囲:P.105 - P.109
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国立札幌病院皮膚科で最近3年間に治療した,白内障あるいは網膜剥離を合併した成人型アトピー性皮膚炎の15症例について,眼症状の詳細と皮膚炎,各種臨床検査,および全身症状等との関連について検討した.15例は16歳から44歳の男性8例,女性7例で,白内障の合併は14例(男7例,女7例)の26眼,網膜剥離の合併は10例(男8例,女2例)の13眼に認められた.白内障の性状は部位が判明している19眼中前嚢下皮質混濁が4眼,後嚢下が3眼,前後嚢下が8眼,散在性が2眼,成熟型が3眼であった.網膜剥離は鋸状縁あるいは毛様体色素上皮などに裂孔を有するものが11眼であった.1例を除いて網膜剥離は白内障を有する眼に発症していた.アトピー性皮膚炎の発症年齢は幼小児期が8例,思春期が4例であった.顔面の皮疹は1例を除いて中等症以上であり,眉毛の脱落を10例に認めた.血清総IgE値は上昇例が多く,特に5例は超高値(10,000 IU/ml以上)を示した.