icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻2号

1998年02月発行

文献概要

症例報告

圧痛を伴った平滑筋母斑の1例

著者: 安部正敏1 田村敦志1 鈴木裕美子1 秋元幸子1 石川治1 宮地良樹1

所属機関: 1群馬大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.152 - P.154

文献購入ページに移動
 3歳女児の左下腿に生じた平滑筋母斑の1例を報告した.病理組織学的所見では,真皮下層から皮下脂肪織にかけて,被膜のない不整形の好酸性に染まる腫瘍塊が認められた.腫瘍細胞は索状に走行し,Masson trichrome染色で鮮紅色を呈した.また,腫瘍細胞はデスミン陽性,ビメンチンおよびS−100蛋白は陰性であった.平滑筋母斑は幼児期に好発し,病理組織学的に真皮における平滑筋東の増生を特徴とする母斑性病変である.一般に自覚症状を伴うことは少ないが,自験例では圧痛を伴っていた.本症における圧痛発生機序は明らかでないが,平滑筋由来の腫瘍性病変で疼痛を伴うことの多い血管平滑筋腫では,いくつかの疼痛発生機序が推定されている.それらの報告と,自験例の特殊染色による検討より,我々は自験例の疼痛発生機序について,狭小な血管腔がもたらす腫瘍の虚血状態が疼痛を起こす可能性を推測した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?