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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻3号

1998年03月発行

文献概要

症例報告

広範囲デブリードマンにより救命し得た壊死性筋膜炎の1例

著者: 三枝恵美1 秋山千恵1 林暁1 内田玲1 塚本克彦1 大竹直人1 島田眞路1 大月佳代子2 前田宜包3 田中行夫3 村井貞子4

所属機関: 1山梨医科大学皮膚科学教室 2山梨医科大学歯科口腔外科 3山梨医科大学救急部・集中治療部 4東邦大学医療短期大学

ページ範囲:P.233 - P.236

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 54歳,女性.2年前よりう歯を認めたが放置していた.平成8年3月14日,咽頭痛,発熱,右頬部の発赤,腫脹のため近医を受診し,う歯による脂肪織炎を疑われ抗生剤が投与された.しかし,紅斑は胸腹部にまで拡大し,稔髪音を聴取し,単純X線,CTにて皮下ガス像を認めたため,3月25日当科に紹介された.入院時,右頬部から両頸部,胸腹部に圧痛を伴い発赤,腫脹した板状硬の局面が存在し,腐敗臭を伴う多量の排膿を認めた.細菌学的にStreptococcus millerigroupとPeptostreptococcusの混合感染による壊死性筋膜炎と診断し,大量のベンジルペニシリンカリウムと多種の抗生剤を併用し,同時に数回にわたる広範囲デブリードマンを行った.最終的には乳房は温存したものの頸胸部から上腹部にかけての広範な筋膜上での皮膚切除を行い,救命し得た.早期の適切な診断と早期デブリードマンによる外科的治療の重要性を再認識した症例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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