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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻3号

1998年03月発行

文献概要

症例報告

頸部大動脈瘤にラッピング手術を施行した血管ベーチェット病の1例

著者: 妹尾明美1 曽我部長徳2 大屋崇2 松浦能子3 荒田次郎3

所属機関: 1三豊総合病院皮膚科 2三豊総合病院外科 3岡山大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.241 - P.243

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 血管べーチェット病は全身の中型ないし大型の動静脈を侵す炎症性疾患であり,ベーチェット病患者の10%前後にみられる遅発性病変である.患者は29歳の女性で,平成5年ごろより典型的な口内潰瘍と肩,背部の膿疱性皮疹を生じ,コルヒチンでコントロールされていた.同6年3月ごろ右頸部に拍動性腫瘤を触れ,血管造影で頸部動脈瘤を確認した.炎症症状に対してステロイドを内服し,動脈瘤は人工心膜で包み込むラッピング手術を施行して良好な経過である.肺血流シンチでは右上肺動脈梗塞があり,皮膚の血管病変として右腋窩,手首,指基部に青色腫瘤,頬粘膜に血管腫を認め,腋窩のものを摘出したところ,血栓のある蔓状静脈叢の像であった.本疾患の動脈瘤へのラッピング手術は本邦1例目であり,ベーチェット病の多彩な血管病変に関して文献的に考察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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