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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻4号

1998年04月発行

文献概要

症例報告

剣山山系のドロレス顎口虫による皮膚爬行疹とイレウスの2例

著者: 宮岡由規1 佐川禎昭1 原田浩史2 仁木寛治3 佐藤隆久4 名和之文5

所属機関: 1小松島赤十字病院皮膚科 2小松島赤十字病院形成外科 3沖洲病院 4佐藤医院 5宮崎医科大学寄生虫学教室

ページ範囲:P.325 - P.327

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 症例1は45歳,男性,発熱と背部の皮膚爬行疹が出現.症例2は45歳,男性,大腸イレウスを発症.両者とも1か月以内に剣山のマムシを同時に生食していた.臨床症状より寄生虫感染を疑った.虫体は発見されなかったが,好酸球増加とELISA法でドロレス顎口虫抗体陽性であった.二人が生食した剣山のマムシ10匹中2匹からドロレス顎口虫の幼虫が検出され,自験例は顎口虫感染と診断した.剣山のマムシからドロレス顎口虫の幼虫が発見されたのは他に報告がなく,生態分布学的に重要であると考えられた.症例1は皮疹の広範囲切除術を行ったが好酸球は増加.症例2も腹部症状は改善したが,好酸球の増加を認めた.両者とも虫体が残存していると考え,albendazole 600mg/日を3週間内服したところ,好酸球は正常に復した.“ゲテモノ食い”が流行する現代の風潮の中,人体寄生虫症は今後増加すると推測され,同剤はドロレス顎口虫症に有用であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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