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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻5号

1998年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス1998 Clinical Dermatology 1998 1 最近話題の皮膚疾患

Subgaleal linoma—自験9例の臨床および組織学的検討

著者: 田村敦志1 石川治1 宮地良樹1

所属機関: 1群馬大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.35 - P.38

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 前額部の脂肪腫は皮下脂肪織内ではなく骨膜上に発生することが多く,subgaleal lipomaと呼ばれている.我々は過去5年間に9例の本症を経験した.いずれも,前頭筋と骨膜との間に発生し,9例中6例は内眼角よりも内側の正中付近に生じており,好発部位と考えられた.下床との可動性は臨床的に4例で可動性ありと判定されたが,術中所見では全例,下床の骨膜に固着しており,通常の表在性脂肪腫のように容易に摘出できるものではなかった.摘出標本の組織像では5例が通常の脂肪腫であったが,3例がfibrolipoma,1例がangiomyolipomaであり,脂肪腫の組織学的variantの頻度が高かった.subgaleal lipomaは本来脂肪織のない部位に発生すること,組織学的に成熟脂肪細胞以外の間葉系成分の増殖を伴う例が少なくないことから,極めて過誤腫的性格の強い腫瘍と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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