icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科52巻5号

1998年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス1998 Clinical Dermatology 1998 2 皮膚疾患の病態

皮膚炎症のリモデリングと線維化

著者: 安部正敏1 石川治1 黒沢元博1 天野博雄1 神戸直智1 五十嵐康1 宮地良樹1 木戸博2

所属機関: 1群馬大学医学部皮膚科学教室 2徳島大学酵素科学研究センター酵素化学部門

ページ範囲:P.50 - P.56

文献購入ページに移動
 ケロイドや創傷治癒過程,初期の全身性強皮症の病変部位には肥満細胞が増加する.この事実は,アレルギー遅発反応後のリモデリングの場や線維化疾患病変部において,肥満細胞が線維芽細胞の増殖あるいは細胞外マトリックスの構築や機能に影響を及ぼす可能性を示唆するものと思われる.これらの機序の一側面を検討するため,ヒト培養線維芽細胞とヒト培養肥満細胞を用いた検討を行った.その結果,肥満細胞との共生培養において線維芽細胞の増殖能は亢進したが,I型コラーゲン産生量は不変であった.また,肥満細胞をIgEで刺激すると線維芽細胞の増殖能は著明に亢進した.他方,肥満細胞由来のメディエーターは線維芽細胞の増殖能,I型コラーゲン産生量および細胞外マトリックスに対し様々に作用した.以上より皮膚炎症のリモデリングと線維化疾患において,肥満細胞およびそのメディエーターが関与する可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?