文献詳細
特集 最近のトピックス1998 Clinical Dermatology 1998
4 皮膚疾患治療のポイント
文献概要
アトピー性皮膚炎(以下AD)の難治化とそれに伴って起こるステロイド依存症・恐怖症という概念が現代のADの病態・治療を考える上で重要である.ステロイド依存,脱ステロイド,そしてリバウンド現象という一種の“どん底体験”をきっかけに,心理社会的な増悪要因やその受け止め手としての人格特性,またその人格特性をはぐくんだ家族システム等に気づいたり,それらを自覚せずとも疾患の極端な増悪が生活をいったんストップしてしまう結果となることで,自然に本人や家族に行動の変容をもたらすことが脱ステロイドでADが良くなる最大の理由であると思われる.我々皮膚科医はステロイドの適正使用を再検討すべきであるし,そういう病態に陥りやすい患者サイドの心理的要因にもっと配慮すべきと思われ,脱ステロイドを行うにも心理治療という枠組みのなかで行うことが最も重要である.
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