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原著
文献概要
過去10年間に広島大学皮膚科で入院加療した成人の皮膚筋炎患者10例中,4例に悪性腫瘍の合併が認められた.その内訳は,56歳男性の精上皮腫,78歳男性の悪性胸腺腫,76歳男性のVirchowリンパ節への原発不明の転移性悪性腫瘍,59歳女性の上咽頭癌であった.これらはいずれも比較的まれな腫瘍で,皮膚筋炎発症後の全身検索によって発見された.また臨床症状として,4例すべてに嚥下困難の訴えがあったが,悪性腫瘍を合併しない6例では嚥下困難を認めなかった.皮膚筋炎においては,まれな腫瘍の合併の可能性も念頭に贋いて,全身検索と経過の観察を行う必要があり,また嚥下困難は悪性腫瘍の合併を示唆する所見として,着目すべきであると考えられた.
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