臨床統計
旭川医科大学皮膚科最近10年間の円形脱毛症の統計的観察
著者:
橋本喜夫1
高橋英俊1
飯塚一1
所属機関:
1旭川医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.599 - P.603
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1987〜1996年の10年間に旭川医科大学皮膚科を初診した円形脱毛症患者292名を対象に統計的検討を行った.頻度は新来患者の約2%で,臨床型分類では通常型(単発型,多発型)が253例(86.6%),全頭型が12例(4.1%),汎発型が23例(7.9%),ophiasis型が4例(1.4%)であった.合併症,背景因子を重視したIkedaの臨床型分類ではcommon type 189例(64.7%),atopictype 57列(19,5%),prehypertensive type 29例(9.9%),combined type 17例(5.8%)であった.予後の把握に関してはIkedaの分類が有意義と思われた.甲状腺機能検査(T3, T4, TSH)は重症型の30例に施行し,6例(20%)に異常値が認められた.低頻度ながら甲状腺疾患,尋常性白斑,大動脈炎症候群,慢性関節リウマチ,重症筋無力症,潰瘍性大腸炎などの合併もみられ,病因としての自己免疫異常説を支持する結果となった.