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症例報告
IgA腎症を呈し,ステロイドパルス療法により蛋白尿が減少したSchönlein-Henoch紫斑病の1例
著者: 大塚勤1
所属機関: 1獨協医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.622 - P.624
文献購入ページに移動 IgA腎症を呈し,ステロイドバルス療法により蛋自尿が減少したSchönlein-Henoch紫斑病の成人例を報告した.患者47歳,女性.初診平成7年1月11日.初診の約1週間前に四肢に自覚症状を伴わない紅色皮疹が出現した.両側下腿に粟粒大から小豆大の点状出血,紫斑が播種性に認められた.組織学的に真皮上層から中層の血管周囲に好中球,単核球より成る細胞浸潤,核破砕片を認め,血管周囲にIgA沈着を認めた.抗ヒスタミン剤内服にて皮疹消退.しかし,1月26日再び同様皮疹が出現した,3.8g/日の蛋白尿を認め,検尿で潜血(+++).腎牛検の結果lgA腎症の診断に至った.ステロイドパルス療法を計4回施行し,蛋白尿が1日0.5g以下になった時点で退院した.成人のSchönlein-Henoch紫斑病に合併したlgA腎症は予後不良のことが多く,早期にステロイドパルス療法を行うことは有効と考えられた.
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