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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻1号

1999年01月発行

文献概要

症例報告

フッ化水素酸による化学熱傷の2例

著者: 酒井利恵1 十一英子1 長町美野子1 李相広1 高橋健造1 吉川義顕1 松吉徳久1 戸田憲一1 今村貞夫2

所属機関: 1京都大学医学部皮膚科学教室 2松江市立病院

ページ範囲:P.30 - P.32

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 症例1:33歳,男性.電子部品のニッケルメッキの作業中に右第3趾から5趾に47%フッ化水素酸(HF)に曝露し,約30分後に疼痛が出現した.症例2:23歳,女性.実験中に左前腕に47%HFに曝露し,約2時間後に疼痛が出現した.2例とも水洗後グルコン酸カルシウム局所投与(0.5ml/cm2),硫酸マグネシウム液処置,硫酸マグネシウム軟膏塗布,ハイアミン液処置等の保存的加療のみにて完治した.HFによる化学熱傷は症状出現までが一般熱傷に比して時間を要し,また症状の遷延化が特徴であるため,初期の処置が極めて重要である.使用者はHFの危険性を認識するとともに,医療者はHF熱傷を起こした場合適切かつ迅速な処置が肝要であることを認識すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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