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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻1号

1999年01月発行

文献概要

症例報告

無治療で経過観察中のLangerhans cell histiocytosisの1例

著者: 佐藤優子1 江畑俊哉1 相澤浩1 上出良一1 新村眞人1 三原一郎2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室 2三原皮膚科

ページ範囲:P.71 - P.74

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 2か月の男児.生後1か月頃より下腹部に漿液性丘疹が散発し,次第に躯幹全体に拡がり当科を受診した.躯幹から大腿にかけて,多数の粟粒大の漿液性ないしは充実性の丘疹が散在し,被髪頭部には痂皮を伴う丘疹がみられた.肝脾腫やリンパ節腫脹は認めなかった.病理組織学的所見では表皮内および真皮上層に組織球様細胞の浸潤がみられ,浸潤細胞は免疫組織学的にCD 1a,S−100,CD4,HLA-DRが陽性で,電顕所見では細胞質内にBirbeck顆粒が認められた.血液一般,生化学,骨X線,頭部および腹部CT,骨髄像に異常所見がないため,無治療にて経過観察したところ,1年3か月後には丘疹はほとんど消退し,4年後の現在再発はない.自験例はいわゆるLangerhans cell histiocytosisの病変が皮膚に限局したpure cutaneous histiocytosis Xと考えられた.通常治療は必要ないが,後に他臓器へ浸潤したとの報告もあるため,初期治療の決定に際し慎重な判断を要すると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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