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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻10号

1999年09月発行

文献概要

症例報告

放射線治療が著効を示したMerkel細胞癌

著者: 井上多恵1 谷田宗男1 石崎康子1 岡田理1 佐藤俊樹1 出光俊郎1 平野義則2 提島眞人3

所属機関: 1秋田大学医学部皮膚科学教室 2秋田大学医学部放射線科学教室 3秋田大学病理部

ページ範囲:P.857 - P.859

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 放射線療法が著効を示したMerkel細胞癌の1例を報告し,本症における多分割照射の有用性について考察した.患者は96歳,男性.初診の2か月前より,右頬に紅色腫瘤が出現した.近医で切除したが再発し,急速に増大,鶏卵大の腫瘤を形成した.高齢であること,家族の希望,および全身状態を考慮し,入院の上放射線照射を行った.原発腫瘤に対しX線1日1回2Gyで照射,8回目より1日2回,1.2Gyずつ照射する多分割照射を行った.総線量X線36Gy,電子線14Gy照射終了時,腫瘤はほぼ消失し,碗豆大の黄色結節を残した.黄色結節の生検組織では真皮上層から中層の以前腫瘍細胞が存在していた部位は多数の泡沫状の組織球に置き換わり,腫瘍細胞の残存は見られなかった.照射終了2か月後,右頸部リンパ節転移を生じ,X線20 Gy,電子線21.5Gy照射にてリンパ節腫大は消失した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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