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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻11号

1999年10月発行

文献概要

原著

Pemphigoid nodularis—当科で経験した痒疹19例の免疫学的検討

著者: 安川香菜1 小泉洋子1 南場裕美1 清水忠道1 大河原章1

所属機関: 1北海道大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.880 - P.886

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 63歳,女性.初診の1年前より口腔内びらんと四肢,躯幹に痒疹が出現した.結節性痒疹として治療を行ったが,6か月後には緊満性水疱が出現した.直接・間接蛍光抗体法(DIF,IIF)では水疱性類天疱瘡(BP)と同様の所見が得られ,immunoblotでは180kD(BPAgII),230kD(BPAgI)の表皮蛋白抗原が認識された.Pem—phigoid nodularisと診断し,プレドニゾロンとアザチオプリンの内服にて改善した.痒疹での免疫学的異常について検討するため,当科で経験した痒疹19例にDIF,IIFを施行した.DIFは19例中4例,IIFは7例中1例が基底膜で陽性で,immunoblotでは230kDの表皮蛋白抗原を認識した.IIF陽性例にはPUVAの治療歴があった.治療に対する反応性,罹患期間とDIF・IIF陽性率に相関はみられなかった.痒疹には基底膜に免疫グロブリンが沈着し,基底膜蛋白に対する自己抗体を有する例が少数ながら報告されているが,BPの病因と考えられているBPAgIIに対する自己抗体の検討なしではpemphigoid nodularisと診断すべきではないと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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