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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻11号

1999年10月発行

文献概要

今月の症例

Papillary tubular adenomaの1例

著者: 松本博子1 田中勝2 野村有子3 山田晴義4 繁益弘志5 西川武二2

所属機関: 1清水市立病院皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 3野村皮膚科医院 4山田皮膚科クリニック 5東京女子医科大学附属第二病院皮膚科

ページ範囲:P.893 - P.897

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 病理組織所見よりAbenoza & Ackermanの提唱するpapillary tubular adenomaと診断した1例を報告した.34歳,女性の上背部に10年来漸次増大した淡紅色弾性軟,広基有茎性の小結節である.17×12mm,高さ5mm,表面は軽度角化性で中央の一部にびらんを認める.病理組織学的には表皮と一部連続する多数の小管腔および小嚢腫様構造が表皮直下から真皮中層にかけて認められ,明らかな断頭分泌像はみられない.中央のびらん部断面では表皮が真皮に向かって裂隙様に陥凹し,陥凹底の一部で乳頭状増殖を示し,syringocystadenoma papilliferumに類似する.特殊染色では,アポクリン,エクリン双方の分化を示す結果を呈し,電顕的にはエクリン導管部への分化を示した.以上の所見より,本症例を現時点ではpapillary tubular adenomaとして診断するのが妥当と考え,papillary eccrine adenoma,tubular apocrine adenomaとの関係につき,若干の考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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