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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻12号

1999年11月発行

文献概要

今月の症例

スポロトリコーシスに対するイトラコナゾールによる治療にH2ブロッカー併用が影響した1例

著者: 大場操1 櫻井みち代1 松本賢太郎1 伊藤泰介2 鈴木陽子3

所属機関: 1静岡県立総合病院皮膚科 2浜松医科大学皮膚科学教室 3静岡厚生病院皮膚科

ページ範囲:P.985 - P.987

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 58歳男性のスポロトリコーシスの症例を報告した.臨床像は右手背にびらんを伴う紅色小結節を呈し,病理組織像は,真皮中層の壊死部位を中心にmixed cell granulomaの像がみられた.分離菌はSporothrix schenckiiと同定された.治療はイトラコナゾール内服1日50mgより開始し,100mgに増量したが,右手背から前腕部にかけて,数個の皮下結節が飛び石状に並んで生じてきたため,懐炉による温熱療法を併用したが,皮疹はさらに右上腕にまで多発した.患者は他院で十二指腸潰瘍と診断されて,塩酸ラニチジンを併用していたことが判明したため,塩酸ラニチジンはそのままにイトラコナゾールを1日150mgに増量したところ,徐々に手背および上肢の皮疹は消失した.初期の治療が無効であった理由としてH2ブロッカーの併用によってイトラコナゾールが抗真菌剤としての治療濃度域に達していなかったと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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