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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻13号

1999年12月発行

文献概要

原著

新しい天疱瘡の血清学的診断法—組換えデスモグレイン蛋白を抗原とするELISA法

著者: 布袋祐子1 天谷雅行1 西川武二1 木下慶子2 大矢和彦2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2医学生物学研究所

ページ範囲:P.1081 - P.1086

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 古典的天疱瘡における自己抗体の反応はデスモグレイン(Dsg)3およびDsg1の立体構造が重要である.最近我々は天疱瘡の血清学的診断法として組換え蛋白を用いたELISAを開発した.1997年1月から1998年12月の過去2年間に他施設から依頼のあったELISAの結果につきまとめ,同ELISAの有用性を検討した.依頼検体は総数344例(症例数244例)で,その中には日本を含め11か国からの依頼があった.244症例のうちELISAにて陽性反応を示した例は194〔尋常性天疱瘡(PV)109例,落葉状天疱瘡(PF)84例,PFからPVへの移行1例〕であった.多くの症例でELISAが最終診断に役立ち,ELISAは有用な検査法であることが確認された.最近では古典的天疱瘡のみならず,疱疹状天疱瘡あるいは腫瘍随伴性天疱瘡においてもDsg3およびDsg1が標的抗原であることも明らかにされている.今後日常診療において従来の蛍光抗体法と併用することでELISAは天疱瘡の診断をより確実にする上で有用な診断法と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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