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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻2号

1999年02月発行

文献概要

原著

血中G-CSFが高値を示し,鼠径リンパ節転移が急速に増大した外陰部有棘細胞癌

著者: 石地尚興1 高木祐子1 川瀬正昭1 竹内常道1 上出良一1 新村眞人1 古谷浩2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室 2鈴木クリニック

ページ範囲:P.105 - P.108

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 73歳,女性,2年前より排尿時異和感があったが,外陰部の病変には気づかなかった.9か月前に左鼠径部に腫瘤を生じ,1か月前より急速に増大した.初診時,左鼠径部に径85mm大の表面がびらんし,滲出液,出血を伴う腫瘤および陰核包皮に表面が白色浸軟する小腫瘤を認めた.生検にていずれも有棘細胞癌と診断,陰核包皮が原発で鼠径リンパ節転移が急速に増大したものと考えた.他臓器に病変は認めなかったが,鼠径部腫瘤が外腸骨動静脈に達していたため放射線療法を施行した.一時的に腫瘤は縮小したが,最終的には鼠径部の腫瘍内で外腸骨動脈が破綻し,失血死した.初診時に白血球数が31,500/μlと増加しており,最高64,200/μlまで増加した.血中G-CSFは373pg/μlと増加していた.肺癌ではG-CSF産生腫瘍が報告されており,G-CSFが白血球増多のみならず腫瘍の増大にも関与するとされる.自験例でも鼠径部の腫瘤は急速な増大を示し,G-CSF産生腫瘍である可能性が考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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