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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻3号

1999年03月発行

連載

Practical English for Busy Physicians・63

所属機関: 1California大学San Diego校

ページ範囲:P.276 - P.276

文献概要

HMOが生んだ新語,ローマ字の表記について,新略語
 世の中,時と共にいろいろの新語が生まれますが,医療保険制度も例外ではありません.現在のアメリカにおけるHMO制度では患者(被保険者)が病気にならず医者も薬も利用しなければしないほど保険会社は膨大な利益を生むようになっており,費用がよりかかる老人や病人たちがHMOと契約するのを嫌がり,実際にそういう人たちが契約したら,いろいろの不都合な制約を設けて自然に契約を止めたがるように仕向けたりするわけです.ともかく今のところ保険会社は十分に業績を伸ばしており成功していると言えます.またこのような現象によって新しい規則が生まれ,少なくとも65歳以上の老人に関する保険機関からの医療機関に対する支払いに若干の変化が起きています.それに伴い新語が3つ誕生しました.“creaming”,“dumping”,“code creep”というものです.
 年配の方は覚えておいでかと思いますが,昔の牛乳はビンの中が2層になっており,上部は大変濃厚なおいしいクリームでしたね.つまり“creaming”というのは医療費がかからない健康な被保険者(患者)のことであり,“dumping”は逆に保険会社がもっとも嫌がる医療費のかかる重病人や老人のことです.保険会社としては彼らをdump(ゴミを投げ捨てること)し,他の保険に移り変わって欲しいと思っているわけです。さて最後の“code creep”ですが,これはアメリカでの保険請求書制度について少しご説明をしないといけないようです.アメリカではすべての病名(全科)に番号(code)がついており,その番号を使って請求書を制作しなければなりません.そして最近の法律ではHMOや病院への政府からの支払いはその病名の重病度によって決まることになり,したがって病院側は懸命に支払い額の多い診断名をつけようと頑張るわけです.つまり肺炎の患者がもし胸の痛みを訴えたとすると,病院側は支払い額の多い心臓発作の診断名をつけようとし,こういった行いを“code creep”と呼んでいます.またそのため病院にコード専門家を送り込み指導する会社が誕生し,多くの利益をあげています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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