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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻4号

1999年04月発行

文献概要

症例報告

連鎖球菌性膿痂疹および咽頭炎を合併したアトピー性皮膚炎の1例

著者: 椿原裕美1 松本文昭1 寄藤和彦1 早川治2

所属機関: 1成田赤十字病院皮膚科 2社会保険船橋中央病院皮膚科

ページ範囲:P.308 - P.311

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 21歳,男性,アトピー性皮膚炎患者.発熱,咽頭痛と共に顔面,頭部に小膿疱,痂皮を伴うびらんが多発し,組織学的に表皮内膿疱形成を認めた.顔面の小膿疱内容および咽頭からA群連鎖球菌(T23型)を検出し,連鎖球菌性膿痂疹および咽頭炎の合併と診断した.ミノサイクリン(MINO)3週間内服でいったん皮疹は軽快するも,中止後膿痂疹の再燃がみられた.アンピシリン・クロキサシリン2週間追加内服後は再燃はみられなかった.最小発育阻止濃度(MIC)にて感受性のあったMINO投与を皮疹消退後も約2週間継続したにもかかわらず膿痂疹が再燃したため,同菌の最小殺菌濃度(MBC)を測定しMICとの比較を行った.ペニシリン系,セフェム系ではMICとMBCはほぼ一致し,良好な感受性を示した.エリスロマイシン,MINOはMICは良好でもMBCは高値を示した.溶血性連鎖球菌は静菌的抗菌剤では容易に発育阻止されるものの殺菌されずに残存するため,病的皮膚では残存する菌によって容易に膿痂疹の再発がみられるものと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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