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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科53巻5号

1999年04月発行

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1999

1 最近話題の皮膚疾患

Cowden-Pringle complex

著者: 倉持朗1

所属機関: 1埼玉医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.23 - P.33

文献概要

 顔面丘疹と口腔内粘膜疹を端緒として明らかなCowden病が,また爪周囲腫瘍を端緒として明らかなPringle病が,一個体に共存していることが分かった42歳女性症例を報告した.Cowden病の所見としては,顔面の小丘疹,口腔粘膜・歯肉の丘疹の他,手足・掌蹠の角化性丘疹,舌腫瘍,多発性消化管ポリープ,乳腺症,子宮筋腫,卵巣嚢腫,大きな頭蓋などが,Pringle病の所見としては,血管線維腫,Shagreen斑,Koenen腫瘍,不完全脱色素斑,gingival hyperplasia,脳室壁石灰化,多発性腎血管筋脂肪腫などが認められた.両疾患は2つの別個の疾患とされているが,臨床的な近似性が時に認められ,また一方が他方のphenotypeを示すことは以前の報告例でも多数あるようである.一個体に両者が共存した理由の一つの可能性としては,Cowden病のhetero—geneityが推察された.Pringle病(tuberous sclerosis complex)の原因としては,16p 13.3に局在するTSC 2,ついで9q34に局在するTSC 1が単離同定されている.またCowden病については,一部の家系で,10q23に局在するチロシン脱リン酸化酵素の遺伝子であるPTEN/MMAC 1/TEP 1遺伝子の異常が報告されており,原因の一つと考えられているが,すべての家系で認められているわけではなく,やはりCowden病のheterogeneityの可能性が指摘されている.ただし,両者が共存した真の理由は未知である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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