文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1999
2 皮膚疾患の病態
文献概要
1994年に慢性蕁麻疹のHelicobacteir pylori(以下H.pylori)の除菌による治癒例が報告され,H.pyloriとアレルギー疾患との関連性が注目された.今回我々は,1996年12月から1997年11月まで当科を受診した,治療に抵抗性,難治性皮膚疾患(慢性蕁麻疹,皮膚瘙痒症,皮膚炎群,多形慢性痒疹,水疱症など)について,抗H.pylori-IgG抗体を調べ,抗体陽性患者を内科に紹介し,胃内視鏡の培養による陽性患者に除菌施行.除菌後の皮膚症状の経過をみた.H.pylori陽性者はほぼ半数を占めた.除菌施行例では,蕁麻疹に我々の症例でも著効例あり.他疾患にも皮疹が急速に軽快する例があった.またステロイド内服維持療法中の症例でも軽快例があり,ステロイドの減量が容易になった.慢性皮膚疾患の中には,H.pylori持続感染が病因になっている疾患,また難治性,慢性化の原因の一つになっている可能性を推定した.
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